未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>32.Berry OS Japan

2005/06/20 16:18

週刊BCN 2005年06月20日vol.1093掲載

クライアント用OSに特化

 Berry OS Japan(大場章弘代表取締役兼CEO)は、オープンソースOS「ベリーOS」を自社開発するソフトベンチャーだ。

 今年3月に設立し、従業員は5人。資本金はわずか2万5000円でスタートした。「製品は設立時にほぼできていたので、資金はそれほど必要なかったし、体裁にはこだわらない」(大場代表取締役兼CEO)。大場代表取締役兼CEOは、前職でLinuxOS搭載のパソコン開発・販売事業を手がけてきた。そこでオープンソースで作る独自OSの開発・販売事業に可能性を見出し、事業化した。

 同社では、クライアントOSに特化し、サーバー向けOSは作らない。法人向けの「ベリーOSエンタープライズ」を6月15日に発売し、7月1日には一般消費者向けの「ベリーOS 2.0」をリリースする。

 Linuxを中心に、オープンソースOSは徐々に普及している。だが、クライアントOSはウィンドウズの独壇場。複数のLinuxメーカーがこの市場にアプローチしてきたが、マイクロソフトの牙城を崩せずにいる。

 それにもかかわらず、この寡占市場に焦点を当てた理由について大場代表取締役兼CEOは、「ユーザーは、ウィンドウズの普及率が高いという理由だけで信用しているだけに過ぎない」と分析。そのうえで、「今のウィンドウズは色々な機能を加えすぎており分かりにくい。ユーザーはそれほど豊富な機能を求めていないと感じている。機能を特化し、安価で分かりやすく使えるOSを提供すれば、勝ち目はある」とあくまでも強気だ。

 一般消費者向けOS「ベリーOS 2.0」は、機能を特化するという言葉通り、マルチメディア機能に焦点を当てている。アプリケーションはテレビ視聴、DVD書き込み、デジカメ画像編集、ウェブブラウザなどに特化し、不必要なものは載せないことで、動作を軽快にした。価格は9980円に設定。「ウィンドウズから気軽に移行できる価格」(大場CEO)という理由から1万円を切る価格にした。自社サイトとダウンロード販売サイトからの販売のほか、パソコンメーカーにも提供していく。

 一方、法人向けの「ベリーOSエンタープライズ」は、オフィスソフト、ウェブブラウザ、電子メール、日本語入力機能しか動作しないように設定。このことで、「情報漏えい対策の観点からもメリットはある」(大場代表取締役兼CEO)という。

 今年度(2005年12月期)は、売上高1億円が目標と規模は決して大きくないが、「売り上げの規模ではなく、普及させること、ユーザーの数を増やすことをまずは意識する」(大場代表取締役兼CEO)としており、寡占市場に独自開発のオープンソースOSで挑む。(木村剛士)
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