“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日
<“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日>25.楽天を焦らせたもの(1)
2005/10/31 16:04
週刊BCN 2005年10月31日vol.1111掲載
TBSの経営陣、労組は当然、経営統合に反対しているし、当初は「提案は筋が悪くない」と前向きに評価していたTBSの「企業価値評価特別委員会」(買収防衛策の発動を協議する第3者機関)の諸井虔委員長も態度を硬化させてしまった。
10月24日になり、楽天の主力取引銀行も経営統合が敵対的買収に発展した場合、楽天に資金を融資しない方針を明らかにしたと伝えられた。同行を含む4行が楽天に与えていた800億円の融資枠は自由に使えなくなった。
プロ野球界からも、TBS筆頭株主となった楽天が形式上、楽天イーグルスと横浜ベイスターズの2球団を所有することになったことは、「複数球団の所有を原則禁止した協約に違反する」と指摘されている。
まさに四面楚歌の状態だ。どうして楽天は、ここまで追いつめられたのか。
放送業界の中には、「政治的な圧力がかかっているのではないか」と勘ぐる向きもある。現時点で、それは確認しようがないが、楽天の手法がスマートでなかったことは事実だろう。
TBSに業務提携を申し入れ、両社が協議を行っている最中にTBS株をひそかに買い集めたり、横浜ベイスターズの売却先を独断でUSENに決め、USENに名乗りを上げさせたり(売却先のあてをつけておくことは理解できるが、現時点で名乗りを上げさせては、無用な疑心を招くのは必至)。
これでは、誰もが「経営統合ではなく、単なる乗っ取り」と感じてしまう。それが経済界の反発を招いてしまったのではないか。
昨年の球団買収騒動では、ライブドアを反面教師として、要領よく立ち回った楽天が(それはそれで批判もあったが)、今回のケースでは、なぜもっとスマートに動けなかったのか。
そもそもTBSは、決して「放送と通信の融合」に後ろ向きなテレビ局ではなく、やりようはあったように思える。
もしかしたら、「放送と通信の融合」カップは、プレーヤー選抜予選において、すでに最終局面を迎えており、それが楽天を焦らせたのかもしない。(坂口正憲(ジャーナリスト))
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