未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>58.インタートレード

2006/01/02 20:43

週刊BCN 2006年01月02日vol.1119掲載

証券関連業務システムをすべて網羅

 インタートレード(荒木幸男社長)は、証券会社の営業担当者3人がスピンアウトして1999年1月に設立したITベンチャーだ。

 昨年度(05年9月期)の業績は、売上高28億7000万円、経常利益6億6100万円と過去最高を記録。一貫して右肩上がりの成長を遂げている。04年9月には、上場を果たした。

 同社がフォーカスを当てるのは、証券会社向けパッケージソフトとその情報システム構築。バックオフィスからフロントオフィスシステムまで合計9つのソリューションを用意する。特に、ディーリングシステムでは「業界トップシェア」(荒木社長)という。

 上場前までは、ディーリングとトレーディングシステムの2つのソリューションだけだったが、上場を機にCRM(顧客情報管理)システム、リスク管理システムなど、一気に7つのソリューションを追加した。

 「証券会社が業務に必要な情報システムをすべて揃えている」のが特徴。05年10月には、日立製作所が開発した株式リスク分析システム「Riskscope(リスクスコープ)」の独占販売権を獲得し、自社開発にこだわらず、他社からの調達でもラインアップ強化に取り組んできた。

 証券会社を取り巻く環境は今後大きく変化し、IT需要も増えると荒木社長は推測する。

 「証券業務システムのニーズが金融業界にも拡大するとともに、ネット取引専業会社の台頭など、証券会社の業態変化によって情報システムへのニーズも増加する。当社のビジネスチャンスも増える」という。

 そのため、同社ではこの約1年の間で、製品・サービスのラインアップの拡充を急いできた。

 証券関連ビジネスに参入する企業も増え、05年末では300社ほどの証券会社が誕生したが、「06年末では350社以上と市場環境はより好転していく」、と判断する。

 製品・サービスが揃ったことを受け、今後は販売戦略でも新たな施策に打ってでる。販売は、直接販売のみで展開してきたが、代理店を通じた販売も検討を開始した。

 証券関連ビジネスに参入する企業が今後増えるとの予測のなかで、直販だけでは顧客にアプローチしきれないとの判断からだ。

 証券会社向け情報システムという専門性が高い分野で、自ら証券業務に携わった経験を生かしたソフトを豊富にラインアップすることで、存在感を示し始めている。(木村剛士)
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