独自プロトコルで電子データ配送

 イーパーセル(北野譲治社長)は、「電子配送業者を目指す」ソフト開発ベンチャー。1996年にまずは米国で起業し、その後01年に日本でビジネスを開始した。

 同社の自社開発ソフト「e・Parcel(イーパーセル)」は、同ソフトがインストールされたコンピュータ同士で、インターネット上でデータ交換する「オンラインデータ交換の場」を提供する。CADデータや動画ファイルなどの大容量データは、ブロードバンドが普及したとはいえ、電子メールで送るには速度や安全性に難がある。このため大容量データを送りたい場合は、CD-ROMなどのメディアに書き込んで郵送するのが一般的だ。この方法だと、郵送費用がかさむことに加え、データを相手に届けるまでに時間を要する。これに対して、従来のオンラインストレージサービスは暗号化などのセキュリティ技術を施していない状態でインターネットに流すことを不安視するユーザーは少なくない。大容量データは結局、インターネットの恩恵を受けにくいわけだ。

 イーパーセルは、大容量データでも安全な環境で、送りたい相手にデータが改ざんされることなく確実に届く。さらに、送信者は受信者がそのデータをダウンロードしたかどうかを確認することも可能。送受信のやりとりをログとして残しておくこともできる。つまり、大容量データでもインターネットのメリットを生かせることになる。

 イーパーセルの類似製品として、エルネットが提供する「宅ふぁいる便」がある。宅ふぁいる便は、50MBまで無料なためイーパーセルよりもユーザーは多い。だが、北野社長は「セキュリティの環境や使い勝手の面で当社のほうが上」と自信を示す。セキュアな通信環境構築には、イーパーセル独自のファイル交換のためだけの通信プロトコルを開発したことと、暗号技術を組み合わせている。このほか、セキュリティ関連を中心に8つの特許技術を生かした。

 価格は1ライセンス10万円。そのほか月額5000円の基本料金がかかり、容量に応じた利用料金がかかる。ライバルの宅ふぁいる便は無料だが、イーパーセルは有料とはいえ金融機関や自動車業などを中心に約300社に導入した実績を持つ。

 今後は直販に加え、代理店を使った間接販売も始める。また、2年以内にはコンシューマ市場にも進出する計画で、販売チャネルを拡充する。IPO(新規株式公開)も予定している。「電子配送業者でナンバーワンの存在になる」(北野社長)と意気込みを示している。(木村剛士)