未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>100.HOWS(ハウズ)

2006/11/06 20:44

週刊BCN 2006年11月06日vol.1161掲載

「Ajax」でソフト部品開発

 HOWS(ハウズ、大塚裕章社長)は、「Biz/Browser(ビズブラウザー)」で有名なアクシスソフト創業者の大塚社長と、その彼が「私が見たなかでナンバーワンの天才エンジニア」と評価する画像処理ソフトのドリームテクノロジーズの創業メンバー、庄司渉(現副社長)が設立した。「本田技研工業の本田宗一郎と藤沢武夫のように二人三脚で日本発世界で売れるソフトを作ろう」という思いから起業したそうだ。

 設立当初は「商品」を売るというより庄司副社長のソフトのコンポーネント(部品)化の考え方、特定の機能を持つコンポーネントが連携をとりながら単独で動く「セル・リレーショナル・ソフトウェア・テクノロジー」というコンセプトを売り出そうと考えていた。しかし「コンポーネント」という言葉が分かりづらい。そんな時「米国で『Ajax(エイジャックス)』が流行っているという情報が入ってきた。庄司副社長と同様の取り組みを手がけていると聞きつけ、調べると、Ajaxは製品ではなくコンセプトであることを知り、これは使えると考え“Ajax=HOWS”をアピールしようと思った」と大塚社長は述懐する。

 Ajaxは、「Asynchronous JavaScript + XML」の略で、Java ScriptとXMLという既存のプログラムを合わせることで、従来はブラウザーで新しい情報を表示する際にはリロードが必要だったが、ページの一部のみを動的に書き換えていき、リロードを必要としない。HOWSはAjaxを活用した個人向けの「AjaxBuilder Lite」のβ版を今年2月に提供した。「無料でブログで楽しむ若い女性用」(庄司副社長)というように、自動でソースが生成され、誰でもマウス操作だけで気軽にウェブページが作れる。ユーザーはHTMLやJavaなどでプログラムを組む必要がない。「技術は裏に隠して実装する」(大塚社長)。ユーザー参加型のウェブ2.0ではユーザーがプログラムを組むのはありえないからだ。

 まだ試行錯誤の段階だが、企業向けの「AjaxBuilder」もすでに導入している。業務の専門家が自分で必要なウェブアプリケーションを、画面を設計した段階で簡単に作れるツールだ。

 HOWSは在宅ワークから始まっている。今も完全フレックス制。「緩い連携のもと、各々が単独で機能する。ソフトも会社も同じ考え方」だという。来年は米国に進出する。IPO(新規株式公開)が先か、技術が売れるのが先か「明日は分からない」。事業コンセプトと技術力には絶対の自信を持つ。株主重視の機運が一般的に高まっているが、「IPOしても株主の圧力には屈しない」と強気だ。(鍋島蓉子)
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