SI新次元 経常利益率10%への道

<SI新次元 経常利益率10%への道>28.シーイーシー(下)

2006/12/11 20:37

週刊BCN 2006年12月11日vol.1166掲載

優秀な人材を適所に配置

2期連続で10%強の成長目指す

 シーイーシー(CEC)は2期連続で連結売上高前年度比10%台の増加を目指す。今年度(2007年1月期)の連結売上高見込みは前年度比11.8%の490億円。来年度の公表予測数値は前年度比2.0%増の500億円だが、「社内の努力目標はあくまでも10%増」(新野和幸社長)と鼻息が荒い。来年度の社内目標を達成すれば連結売上高は540億円近くになる。

 今年度の連結ベースの経常利益は27億円、経常利益率は5.5%の見通し。来年度は公表予測ベースの売上高500億円に対して経常利益率約8%、40億円を見込む。

 CECでは高い目標を達成する仕掛けとして「ソフト開発の国際分業体制の強化」と「ソフトウェアプロダクト・サービスの積極活用」を重視する。

 IT投資の拡大基調が続いており経営環境は改善した。しかし、一方で人材不足が深刻化。海外オフショア開発による国際分業体制の確立が急務となった。また生産性を高める自社パッケージソフトの拡充やソフトウェアのサービス化(SaaS)など新しいビジネスモデルにいち早く対応することも求められる。

 新野社長はプロジェクトに求められるスキルと人手の増減に着目。設計→開発→テストの一連の工程のなかで「設計」と「テスト」は高い水準のスキルが必要であるのに対して、「開発」は高いスキルよりも人手が多くかかる。上流の設計を誤るとプロジェクトそのものの不採算化を招く危険性も高まる。テストや動作検証は品質確保に欠かせない。

 「上流設計はスキルの高い人材を重点的に割り当て、開発工程は逆に少ない人数で効率よく作業を進められるようにする」と上流工程に重点を置いた人員配置を行う。

 人手がかかる開発工程でどうしても人が足りなければ中国やインドのオフショア開発を活用する。現在、中国・上海の子会社は100人規模の開発パワーを有している。これを今後3年間で倍増させる。インドでも今後3年程度で100人規模の開発体制を構築する計画だ。ひとつには開発原価の削減だが、それ以上に「スキルの高い人材の確保こそが真の目的」と位置づける。国内外を問わず優秀な人材が見つかれば上流やテスト工程に当てる考えだ。

 データセンターや独自パッケージソフト、オープンソースソフト(OSS)には継続して投資していく。データセンターはSaaSなど今後拡大が期待されているオンデマンドサービスに活用する。

 オンデマンドは月額料金が基本であり、OSSはソフトライセンスの料金が得られない。パッケージソフトも従来の手組みのソフトに比べて単価が安い。半面、顧客の満足度を高める要素は十分にある。満足度向上をトリガーにして顧客本位のアカウント戦略のいっそうの推進や顧客のIT投資総額に占める自社の受注額の拡大に努め、増収増益に結びつける方針だ。

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