未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>109.シンクプラス

2007/01/15 20:44

週刊BCN 2007年01月15日vol.1170掲載

ブラウザを同期するソフト

 シンクプラス(川北潤社長)は、2台のPCでブラウザ画面を共有するソフト「Sync+(シンクプラス)」を開発・販売している。

 このソフトは、ネットワークに接続するためのルーティングソフト「SyncRouter(シンクルータ)」、ブラウザ同士の挙動を同期させるプラグインソフト「Sync Plug(シンクプラグ)」、ユーザーIDを発行するサービス「Sync Plus.net(シンクプラス.ネット)」の3つで構成される。ブラウザがデータを送受信するのに使う、HTTPプロトコルを利用しているため、通信のために新しい基盤を作る必要がないのが大きなメリットだ。

 同社は、独自のIDを設定できる「SyncRouter」を企業・団体に向けて販売している。ISPやポータルサイトなどにルータの売り込みをかけることで「最終的には利用料を収益源とし、HTTPネットワークの元締めになる」ことを目標にしている。しかし「高評価は受けたものの、前例がなく、まだ導入したいという声が上がっていなかった」ことから、モデル事業として始めたのが、Sync+を一般消費者に提供するサービス「SyncPlus.net」だ。

 ユーザーは「SyncPlus.net」で無償のプラグインソフト「Sync Plug」をダウンロード。IDを取得すると、ソフトをインストールしたPC同士でブラウザ画面を同期することができる。画面をただ共有するだけでなく、「Sync Plug」のツールバーから「Draw」ボタンをクリックすると、画面上に文字や絵を書き加えることができ、「Point」をクリックすれば相手のマウスの軌跡を表示することも可能だ。機密情報となるパスワードなどは同期できない仕組みを用意している。

 またSync+を応用したアプリケーション「SyncShop(シンク ショップ)」は、コールセンターなど会員に向けた問い合わせ対応ソフト。顧客がECサイト上から、店員待機画面に飛び「店員呼び出しボタン」を押すと、顧客に整理番号と電話番号を発行。指示に従って顧客が電話番号に連絡すると、電話口のオペレータが顧客の整理番号を確認して、同期の取れたブラウザ画面と音声で対応する。「インターネットでは売りづらい保険や不動産などの説明商品も販売できる」。今春からはユーザーが窓口の待ち人数を把握し、コールバック予約できる機能を追加する予定だ。今年度(07年3月期)は100サイトの受注を目指す。

 全社的な売上高は6億円を目指しているが、「ネットワークは火がつけば勢いよく伸びていく」と期待を込め、3-5年では倍の売り上げを見込む。(鍋島蓉子)
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