IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>16.RDVシステムズ編(下)

2007/09/10 20:45

週刊BCN 2007年09月10日vol.1202掲載

ITCの協力で事業領域拡大

 宮城県仙台市にあるRDVシステムズの設立は2000年5月。設立当初は、機密書類を裁断、処分する「Onsite RDVシュレッダーサービス」をメイン事業として手がけていた。同サービスは、発注企業まで出向いてシュレッダーで裁断処理するものだ。そのため、情報漏えいの原因となる「放置」を完全に排除できる。個人情報保護などの意識が高まるなかで安全性の高い処理サービスと評価され、多くの顧客を獲得した。

 しかし、ペーパーレス化が進みつつあるなか、「機密書類のシュレッダーサービスだけでは業績拡大に限界があると判断した」と松本敏治代表取締役は振り返る。そこで、同社の顧問税理士でITCでもある上杉廣美氏に相談。上杉氏は、「ペーパーレス化が進んでいるならば、パソコンなどにデータを保存しているはず。磁気・光媒体の消去まで事業領域を広げてもらいたいと考えた。そこで、ビジネスモデルのコーディネートに協力した」。その結果、磁気・光データの消去をはじめパソコンのHDD交換やデータ復旧などの出張サービスである「Onsite ZERO」を昨年春から提供開始することとなった。

 また、上杉氏が重視したのは「全国RDVシステム協議会を発足し、全国でサービスを提供できる体制が整っている」ことだった。そのため、「Onsite ZERO」の開始にあたり、経済産業省による新連携事業の認定を受けるよう勧めた。新連携事業とは、複数の企業が共同で行う新事業を経済産業省が支援する制度だ。今では同協議会に40社以上が参加しており、サービス提供エリアが北海道から沖縄まで主要8都市を網羅するまでに拡大している。

 ただ、「Onsite ZERO」が順調に推移しているかといえば「思ったよりも顧客を獲得していない」とRDVシステムズの松本代表取締役は打ち明ける。1か月平均で40-50万円の売上高という。「国内で急激にパソコンが普及してから、まだ7-8年。ユーザーは、パソコンが壊れたら買い替えればいいと思っている」ことが要因だ。一方、「情報の内部統制が厳しく叫ばれるなか、ますますIDやパスワード、通信の管理が煩雑になっている。パソコンを買い替えた場合は、それらを再度入力しなければならない。さまざまなアプリケーションをインストールする手間と時間もかかる」。そこで、「管理者の少ない中小企業などにとっては、パソコンのHDDの健康状態を把握できることがコストダウンになる。HDDが突然クラッシュした経験のある人たちにとっても役立つはず」と考え、今年4月からサイトでのHDD診断サービス「Dr.ZERO」を無料提供することにした。

 今年8月時点で、「Dr.ZERO」は約3000人の利用者を獲得している。「サイト利用者をいかに顧客にできるかが課題」。同社の挑戦は続く。(佐相彰彦●取材/文)
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