IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>19.アーネスト・エフツー編(上)

2007/10/01 20:45

週刊BCN 2007年10月01日vol.1205掲載

牛乳店経由の食品販売管理を模索

 社長を含め従業員6人の小規模事業者であるアーネスト・エフツー(鮎貝秀興社長)は、全国約400か所の「牛乳販売店」に健康食品や地方の名産品などを卸している。現在の所在地である千葉県茂原市で1999年に設立した当初は、親会社(当時はさくらヴァン)の「牛乳販売店」向け受発注管理ソフトウェア「らくらく牛乳屋さん」のカスタマイズ案件を手がけるソフト開発会社だった。

 ところが、時代とともに、お年寄りや子供のいる家庭にしか宅配牛乳のニーズがなくなった。廃業する「牛乳販売店」が増えるなかで、既存店の生き残りを支援するため、健康飲料の「牛乳」に関連した副収入となる食品の卸売りを開始。「牛乳販売店」に宅配時にチラシを配布してもらい、顧客から注文を取り、受注数に応じてマージンを支払う仕組み。ソフト販売に比べ、順調に業績が伸びたため、設立2年目に食品卸売を専業とする会社へ転換した。

 この当時、大手食品メーカーのロッテで営業・企画を担当者していた鮎貝氏が社長に就任。安価で手軽だったマグレックス製の「販売・会計・給与システム」を導入した。しかし、4年前に保守期限が切れてしまった。「業容を拡大するうえで販売戦略に支障をきたす」(鮎貝社長)と気を揉みつつ、有効な手段が打てずにいた。そんな折り、現在の親会社であるSIerのアーネスト・ビジネス・ソリューション(本社東京・日本橋)を通じ、ITコーディネータ(ITC)の石井和男氏(NPO法人千葉県ITコーディネータ事務局長)の紹介を受け、ソフト入れ替えのアドバイスを受けた。

 相談を受けて支援を開始した石井氏は、マグレックス製の同システムを見て、「請求書発行やデータコンバートができず、必要な販売管理資料も得られず、業務拡大に支障をきたす」と判断した。鮎貝社長と業務プロセスの現状調査を実施し、両者での検討を経て昨年9月、弥生の「会計」と「販売管理」のシステムに入れ替えた。

 アーネスト・エフツーがこれまでに取り扱った食品は約40点以上にのぼる。ヒット商品としては、和歌山の梅干「南高梅はてなし」や宮城県気仙沼の「濃縮ふかひれスープ」などがある。それでも品揃えは十分とはいえない。「隠れたヒット商品を発掘」(鮎貝社長)し、「牛乳販売店」から得た顧客ニーズも捉えていきながら魅力的な商品を提供していかなければ、大量のチラシをまいても効果を高めることができないという。

 そのためには、チラシ還元率(配布枚数に対する注文件数)を上げることが必須。だが、弥生のソフトだけでは、「チラシ配布数と売り上げの相関や、各販売店に応じた施策をする営業戦略上の情報が得られない」(石井氏)ことが分かり、再度、経営環境の課題を分析して、マイクロソフトのデータベース「Access」での再構築を断行した。
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