SaaS+SIで相乗効果

 SIerのDTS(赤羽根靖隆社長)の子会社アスタリクス(中島宏社長)は2006年10月設立のSaaS(Software as a Service)専門会社だ。03年ごろにはブロードバンドの企業導入率が8割にのぼり、またリッチクライアント環境の進展やセキュリティに対するユーザーの心理面の払拭もあり、「ASP」環境が整ってきたことから、新しいビジネスとして企画した。設立した06年は「SaaS」も盛り上がってきた時期だ。

 昨年6月よりオンデマンドのビジネスアプリケーションサービス「Bizca」の提供を開始した。「Bizca」の第一弾サービスとしてグループウェアをSaaS方式で提供しようと考えたのは「リサーチをしてみたところ、ノーツを使っていた企業が、リプレースしたい製品として上位にあげたのが、グループウェアだった」ためだ。

 同社の親会社DTSは通信や金融など大手・中堅企業に強い。一方、中小企業ではパッケージソフトを使っているところが多い。SaaSは手組みのソフトをサービスとしてウェブ上から提供するため、「SIerの手組みソフトと、パッケージソフトのギャップを埋めてくれるもの」(中島社長)と考えている。

 現在は、DTSと組んで、大手・中堅企業のチャネルに製品提供を行っている。だが、今後は中小企業にチャネルを持っているパートナー企業と組むことで、スモールカンパニーに対して製品を流通していきたいと意欲を示す。

 ただ、問題なのは「肝心の中小企業が、SaaSを理解していない」こと。ここをどう打開していくかが課題だ。

 望みはある。経済産業省をはじめ、総務省と業界団体のASPIC Japanによる普及のためのガイドライン作成や、キャラバンで全国を回るなどして、中小企業に対してSaaS導入のメリットを伝えている。さらには、KDDIやソフトバンクなどのキャリアがSaaS環境を提供している。「SaaSが市場として立ち上がるまで、関連事業者は協力していくことになるだろう」と考える。

 アスタリクスでは単にウェブ上から機能を提供するのではなく、もし顧客の欲しい機能がない場合、特注のアプリケーションを開発し、SaaS環境で提供する。SIとして受けることで、親会社のビジネスとの相乗効果を図っている。

 現在はDTSとのみ組んでいるが、「今後はパートナーともこのビジネスを広げていきたい」との構想を持っている。(鍋島蓉子●取材/文)