文化やビジネスを支えるCC

 ネットビジネスの最前線で、クリエイティブ・コモンズ(CC)を活用する動きが活発化している。急拡大するユーザー参加型メディア(CGM)は、サイトの滞在時間を伸ばし、ページ閲覧数を効率的に増やす絶好のツール。露出が増えれば広告収入の増加につながる。CCライセンスはこうしたネットビジネスにマッチする可能性がある。

 ニフティは、国内大手インターネットプロバイダで最初にCCライセンスを採用した実績を持つ。2005年にビデオ投稿系のサービスで採り入れ、現在は動画投稿サービス「@niftyビデオ共有」に適用中だ。今はさらに一歩踏み込んで、「ブログ向けの自社キャラクターを使ったCCライセンスの活用を進める」(黒田由美・コンシューマメディア部プロデューサー)。9月18日からブログに貼り付ける小型ソフトウェアのキャラクター「ブログ妖精ココロ」(写真)を題材にした4コマ動画制作コンテストの募集をスタート。応募作品には自動的にCCライセンス(表示+非営利+改変禁止)を付与する。

 ココロは、お堅いニフティでは珍しい美少女キャラクターで、いわゆる“萌え”要素を含む。今年春から本格的に人気が出始めて、すでに2万人を超えるユーザーが自らのブログにココロを掲示する。二次創作のガイドラインも独自に策定するなどし、ココロをモチーフにしたユーザーの創作活動を容認。8月に開催された世界最大の同人誌即売会のコミックマーケット(コミケ)にはココロの絵柄入りの缶入りパンを出展。ユーザーへの働きかけに力を入れる。

 狙い所は外れていない。角川グループホールディングスの角川歴彦会長CEOは、当初、YouTubeに投稿される自社のアニメ作品の二次創作を見て、「これはコミケだな」と直感的に感じた。コミケは30年余り続く歴史あるイベントで、多数の同人サークルが参加。人材発掘にも重要な役割を果たす。“萌え”を追求する傾向は健在で、動画投稿サイト国内最大手のニコニコ動画でも個人のクリエーターだけでなく、有力な同人サークルが多数活躍する。

 今回のココロでは、ニフティ自ら素材を提供することで、創作活動を手がけるアマチュアクリエーターとの関係を強化。商業ベースでなくとも、アマチュアが制作した優れたコンテンツは一般ユーザーの関心を呼び、結果的にニフティが運営するブログや動画投稿などのCGMサービスが盛り上がる。人が集まれば広告収入などのビジネスに結びつく。CCライセンスは、同人文化やCGMのルール基盤としての存在感をより強くしている。(安藤章司●取材/文)