IT業界全体に広がる可能性

 9月の上場企業の経営破綻は9社と最悪となった。米国の金融不安による信用収縮、景気悪化を背景に、国内の銀行は融資を厳格化。9月中間期を越えることができない企業が相次いだ。これで今年に入っての上場企業の経営破綻は15社。業種では地価下落を背景に新興不動産、建設が多いが、それ以外でもトランスデジタル(システム開発)、ジェネシス(半導体検査装置)、プロデュースなど粉飾決算、ずさんな経営で破綻した企業もあり、投資家の信頼低下につながることが懸念される。

 “リーマン・ショック”はIT関連企業の業績にも影を落とし始めた。野村総合研究所の2008年4-9月期の経常利益は235億円(前年同期比20%減)と従来予想を下回る見通し。金融機関向けのシステム開発が売上高全体の4割を占める同社だが、証券会社などが新たな投資を控える動きが顕在化している。金融市場混乱、景気後退の影響は情報システム業界全体に広がる可能性がある。

 そして関心を集めたのがソフトバンクの株価急落。10月初めには1300円台を割り込んだが、これは05年6月以来のこと。昨年3月高値の3190円からは半分以下となった。信用買いしていた投資家が見切売りを出したという需給面に加え、「iPhone」の販売不振、さらには一部月刊誌で取り上げられた“資金繰り不安説”も売りを誘った。ソフトバンクは国内外主要金融機関37行と総額2010億円の融資枠契約を結んだが、借入金の大きさが引き続きマイナス視されている。同社株は個人投資家の保有が多いだけに、その株価下落は投資家心理を一段と冷え込ませる。 

 金融不安が予想以上に広がっていることに加え、これからはクリスマス商戦の不振、11月決算のヘッジファンドの解約売りなどが予想されることから、年内は株式市場の波乱は続くとみられる。(有賀勝久)