「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を迎えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。国内で地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか――。
3年前までは、フルスクラッチ(すべて手組みのソフトウェア開発)の事業を主体に展開していた。しかし、最近では、受託ソフトウェア開発より、オービックビジネスコンサルタントやピー・シー・エーなどの汎用的な業務ソフトウェアをアドインしたり、カスタマイズする案件が増え、この粗利益が高いこともあって、当社の主力事業に成長している。北海道内ではこれまでに、数多くの案件を手がけてきた。
北海道のように東京から離れた地域では、市販されているソフトのうち、評判がよくてIT化するうえで適正な製品はどれなのかを判断する材料に乏しく、指南をしてくれるベンダーも少ない。そこで、当社では、地元の公認会計事務所とタイアップして、会計システムのあり方をコンサルティングするなかで、中小企業に会計システムを導入する「自計化」の支援を強化している。道内の企業の「自計化」は遅れており、まずはこの分野で地場に貢献ができると考えている。
会計ソフトを当社で導入した企業からは、「ノーザンシステムがサポートしてくれる」と信頼していただいている。この分野から当社のビジネスが徐々に拡大していく構図になりつつある。今後は、会計ソフトを入れたあとの運用保守、あるいは導入前のトレーニングなども手がけ、安定的に顧客を獲得することを目指していく。
当社は、まだまだ規模が小さいベンダーなので、他社と協業して導入を促進していくことが重要になる。この際に必要な「技術力の均一化」を進めている。
IT需要が豊富にあった昔のような時代ではない。地場企業のIT化を進めるには、ベンダー同士が協力して顧客の満足度を高められるシステムをつくるべきだと考えている。
自社製品の開発にも積極的に取り組んできて、CTIシステム「Active CTI」は道外の企業にも導入されている。受託開発で培った技術を横展開し、保険代理店向けシステム「Visit」や建設業会計などを生みだしたが、こうした独自ソフトの拡大も目指していく。
◇ノーザンシステム 代表者…上口義雄 代表取締役社長 売上高…1億円 利益率…公表せず 主要顧客…建設、保険代理店 ハードとソフトの比率…3:7 県内・県外比率…7:3 |