地場有力ITベンダー 未来を語る

【青森】 青森電子計算センター 周辺地域で協業を進める

2009/09/16 20:42

週刊BCN 2009年09月14日vol.1300掲載

 「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を迎えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。国内で地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか――。

 青森県内の市町村を対象としたビジネスの売上比率が最も高く、最近では医療機関も顧客対象としている。地域別では、青森県のウエートが圧倒的に高く、首都圏は10%程度にとどまっている。

 地方自治体ビジネスを主体に据えているが、自治体の予算が少ないことなどがネックになって、思うように案件が獲得できない状況だ。それを補うため、医療機関に対する製品・サービスの提供に力を注いでいる。この戦略が奏功して、堅調に売り上げを伸ばしている。一方、民需については、県内の市場規模が小さいことから、依然として厳しい状況が続いている。

 業績を伸ばしていくには、新しい市場に参入することも重要と実感している。とはいえ、1社だけではニーズに対応できないと考えて、他県のSIerとの協業を進めている。当社はNEC製品を中心に製品・サービスを手がけているので、NEC系販社とビジネス的なネットワークを広げ、電子カルテやオーダリングシステムなど、自社の医療関連システムを販売してもらうスキームを構築中だ。その一方で、青森県内では他ベンダーの製品を同社が販売するというWin─Winの関係を築いていく。

 また、異業種との連携を強化することで自社製品の拡充を図っていきたいと考えている。2010年に東北新幹線「新青森駅」が開業する計画があり、観光客が増える可能性があることから、ITを使って観光客向けサービスを提供できる製品を開発する。さらに、青森県の基幹産業は農業なので、地元の農産物を1年中出荷できるようなシステムの構築にも寄与していきたい。例えば、ビニールハウスの気温などをITシステムで制御する仕組みなどが挙げられる。

 SaaSやクラウドなどサービス型モデルについては、当社のデータセンターを活用できるように体制整備を進める計画だが、はたしてニーズがあるかどうか、調査している段階だ。水道局やクレジットカード会社などからソフトをASP提供してほしいという要望が出ており、アプリケーションによってはビジネスとして成り立つ可能性が十分にあるとみている。

◇青森電子計算センター
代表者…小田桐健藏 代表取締役会長
売上高…40億円
利益率…1億5000万円(経常利益)
主要顧客…地方自治体、医療機関
ハードとソフトの比率…5:5
県内・県外比率…8:2
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外部リンク

青森電子計算センター=http://www.acsc.co.jp/