愛知県に本社を置き、自動車・冷熱の部品製造を手がける半谷製作所(半谷眞一郎社長)は、1936年創業の老舗メーカーだ。もともとは自転車部品を製造していたが、1960年、三菱自動車の協力メーカーとして自動車部品の製造に業態転換した。現在は、部品の売り上げの46%を三菱自動車が占める。これまでに生産管理システムなどを導入し、継続してITの利活用に努めてきた。現在も経営のスリム化を進めている。
半谷製作所の売上高のピークは、07年度に計上した104億2500万円だった。リーマン・ショックが起きた08年度は69億5300万円で、大幅に減少した。09年度はさらに落ち込み、58億3700万円。10年度は69億円に持ち直し、「IT化が実を結んで、V字回復できた」(隅田敏明・総務部部長)。
経済産業省が毎年実施している「中小企業IT経営力大賞」に初めて挑戦するきっかけとなったのは、取引先の担当者の名刺に印刷されていた経営力大賞のロゴマークだった。気になって、このロゴマークについて調べてみたという。ところが、「受賞するのはかなり難しいと感じた。でも、名刺にISOのロゴマークだけでは寂しかった」と隅田部長は話す。
応募することを決意したのは09年だった。「今年はリーマン・ショックの影響で、申請する企業が少ないので認定される確率が高くなる」という水口和美ITコーディネータ(ITC)の話を聞いたからだ。05年に三菱電機のオフィスコンピュータ(オフコン)からリプレースした三菱ビジネスシステムの生産管理システム「ACCROAD Pro」の活用による経営の改善効果をアピールすることにした。
従来のオフコンは受発注用で、その他の業務は各部署でバラバラに管理していたので、データの共有がまったくできていなかった。これをデータの一元化ができるようにシステムを刷新したのだ。生産日程計画に携わる要員を二人削減し、月平均の在庫金額は2億円削減できた。
努力が実って、「IT経営実践認定企業 2010」に選ばれた。社内からは、「来年は経営力大賞の受賞を狙う」という声が上がったというが、目立ったIT投資を追加してこなかった。(つづく)(信澤健太)