年頭所感

【2012年度 IT産業の道しるべ】 日本情報技術取引所(JIET)

2012/03/22 20:40

週刊BCN 2012年03月19日vol.1424掲載

Change

二上秀昭
理事長
 日本情報技術取引所(JIET)は、約780社の会員企業を抱えるNPO法人で、大手と中小のソフト開発企業・SIerをつないでいる。開発案件の一部をアウトソーシングしたい大手企業、その仕事を請け負いたい中小企業を、ウェブツールなどを活用してつなぐ。

 しかし、最近は「労働者派遣法(派遣法)」が、その仕組みを機能不全にしている。大手企業が、発注情報を公に流すことを躊躇する状況に陥り、取引がスムーズに行えなくなっているのだ。また、大手のITベンダーは、コスト削減を目的にオフショア開発を積極的に取り入れている。それを止めるわけにはいかないが、このままでは日本の中小ソフト開発企業が衰退してしまう。

 こうした状況を受けて、2012年度には新たな試みを開始する。それが「Change」を標榜する理由だ。具体的には、中小のITベンダーとユーザー企業・団体を直接つなぐ活動を展開するつもりだ。中小のITベンダーが大手の下請けで事業展開するのではなく、ユーザー企業とのダイレクトビジネスを手がけられるようにする。すでにユーザー企業を会員企業として抱える複数の団体との連携を実現している。

 ここ数年、リーマン・ショックや東日本大震災など、さまざまなできごとが起きたが、開発プロジェクト自体は極端に減少しているわけではない。仕事が中小のITベンダーにも回るよう、変化を促していく。
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