IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>115.日伸貴金属(下) 体験教室で顧客層を拡大

2013/02/21 20:29

週刊BCN 2013年02月18日vol.1469掲載

 経済産業大臣指定の伝統工芸品である「東京銀器」を手がける日伸貴金属(上川一男代表取締役)は、野中栄一ITコーディネータ(ITC)の協力のもとにウェブサイトを制作した。

 「東京銀器」をブランドとして魅力的に伝えるため、ウェブサイト上には、高級感を感じさせる銀器の作品群や伝統技法に関する情報を掲載。さらに、閲覧者を工房に誘導して、実際に実物に触れてもらえるように「銀器制作体験教室」のページを設けた。ウェブサイトを新規顧客の入り口として使用して、工房での体験教室を通して「東京銀器」を理解してもらう仕組みだ。これが功を奏し、顧客層を広げることができている。体験教室には、月に約60件の問い合わせが来ている。修学旅行生や定年を迎えた高齢者などが体験教室に参加しているが、ほとんどがこれまで日伸貴金属とつき合いのなかった顧客だ。2013年はすでに10月まで予約が入っており、「予想以上の効果を上げている」(上川代表取締役)。

 また、ウェブサイトには、「『伝統工芸一家』ページを設けて、後継者不足の事業者が多いなか、家族で伝統工芸を引き継いでいこうとしている日伸貴金属の特徴を前面に押し出した」(野中ITC)。これがメディアからの注目を浴びて、テレビや雑誌でたびたび取り上げられ、さらなるPRにつながった。

 顧客層の拡大は、外国人観光客にも及んでいる。ウェブサイトを英語に対応したことで、「広告を出したわけでもないのに、外国人のお客様が工房に直接訪れるようになった」(上川代表取締役)のだ。

 体験教室が好評なことから、今後はウェブページに予約状況を一覧できるような表を制作したり、Facebookとの連携を進めていったりする予定だ。また、海外からの引き合いが増えている経緯から、これまでは実施していなかったウェブサイトからの販売も検討している。「実際に実物を触れてもらわなければ、『東京銀器』の魅力を伝えることは難しく、アフターケアが重要になってくるのでハードルは高い」(上川代表取締役)が、野中ITCと協力して一つひとつ打開していこうとしている。(真鍋武)

日伸貴金属のホームページ
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