人類は、「農業」「工業」に続く第3の波「情報」の大革命のなかにいるようだ。第3の波のなかでも、インターネットは非常に大きなプレイヤーであり、こちらも、第3の波を迎えようとしているのではないか。第1の波は「ウェブ」、第2の波は「ソーシャルサービス」、そして、第3の波は「IoT」である。そのようななかでデータセンターは、インターネットの発展と変革を第1の波から支えてきたハードインフラといえる。第1の波の時には、通信会社の局舎を中心にしたISP/CSPに対するホスティングサービスが登場し、ティア 1プロバイダに象徴されるISPとIXPがインターネットの核となっていた。第2の波で、インターネットの核はハイパージャイアントに代表されるCSPへと変化し、最近では、データセンターの巨大化とクラウドサービスが進展している。そして、第3の波である IoT が展開されようとしている。
サービスの高機能化・高度化に伴い、データセンターで取り扱われるデータ量の増大と要求プロセッシング能力の向上が要求されている。遅延・レイテンシに関する要求は、デジタル信号の伝搬速度(=光の速度)という制限との闘いでもあった。とくに、最近のデータセンターにおけるデータ量の増加は、深刻な技術的課題となっており、データセンターを構成するIT/ICT機器のホワイト化が取り組まれている。Facebookはこの課題を解決するために、Open Compute Projectを立ち上げ、Google はOpenPOWER Foundationを立ち上げた。両プロジェクトとも、データセンターのすべての構成要素のホワイト化を進めており、業界全体の構造改革が推し進められようとしているのだ。ベンダー主導型のシステム開発が、プロバイダ主導となる DevOps型の推進、すなわち「ホワイト化」である。データの肥大化は、プロセッサオリエンティッドなサーバーアーキテクチャを、データオリエンティッドなアーキテクチャに変化させつつある。巨大なデータを移動させるためのコストが極端に肥大化している一方、プロセッシングは仮想化技術の進展に伴い機動性(移動性)が向上、その結果、データセンターのサーバーアーキテクチャは根本的に異なる構造に移行しているように思える。データセンターのホワイト化は、非常に大きな変革期にあると捉えるべきではないだろうか。
東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 江﨑 浩

江崎 浩(えさき ひろし)
1963年生まれ、福岡県出身。1987年、九州大学工学研究科電子工学専攻修士課程修了。同年4月、東芝に入社し、ATMネットワーク制御技術の研究に従事。98年10月、東京大学大型計算機センター助教授、2005年4月より現職。WIDEプロジェクト代表。東大グリーンICTプロジェクト代表、MPLS JAPAN代表、IPv6普及・高度化推進協議会専務理事、JPNIC副理事長などを務める。