事業構想大学院大学 特任教授 渡邊信彦
略歴
渡邊 信彦(わたなべ のぶひこ)

1968年生まれ。電通国際情報サービスにて、ネットバンキング、オンライントレーディングシステムの構築に多数携わる。2006年、同社執行役員就任。経営企画室長を経て、11年、オープンイノベーション研究所設立、所長就任。現在は、株式会社ジャパンネクストジェネレーションCEO、事業構想大学院大学特任教授、Psychic VR Lab エバンジェリスト、地方創生音楽プロジェクト「one+nation」のFounderなどを務める。
先日、日本人材機構が調査結果を発表した。首都圏の大手企業管理職は、キャリアをやり直せるとしたら、56% が『転職したい』と考えている。『現在の職場が<キャリアの棚卸の場>を設けていない』と回答した管理職のうち59% が<キャリアの棚卸の場>があれば『有効である』と回答している。
つまり、約6割はもっと早いうちに自分のキャリアを見直して、転職を検討していればよかったと考えているということだ。働き方改革が浸透することにより、多様な働き方を認める社会制度が整うことになる。しかし、それは個人が自分の適性や実力を評価し、それにあった働き方を選択するということである。決して緩く働こうという事ではない。自分を知り高めていかなければ、活躍する場所がなくなっていくことを認識しなくてはならない。
40歳を超える頃には、会社内での評価とその後の役割りがほぼ確定される。そして、50歳を超える頃に戦力外通告を受ける。それが現実だ。40歳から50歳までの10年間は十分な活躍ができていない。そして、気づかされる50歳からのキャリアチェンジは容易なことではない。
数年前に40歳定年説という言葉をよく聞いたが、一旦40歳で自分のキャリアを見直し、65歳まで働くとして、その25年間の働き方を見直すのは合理的な考え方だと思う。40歳というより、結婚や子どもの就学などライフプランに合わせて棚卸しをして、新しく学ぶ機会やチャレンジの機会をきちんと生かすことが大切になってくる。
人口が減少し労働力が足りなくなっている今、40代を配置換えする。今の職場より活躍できる場所があるのに、きっかけが得られず過ごしている人が活躍することは、本人にとっても社会にとってもプラスである。
働き方改革、取り違えると無理せず働こうというメッセージに捉えらえられてしまいがちだが、世の中そんなに甘くはない。社会の掟が、価値観の多様化によって機能しなくなってきている。共通の価値観ではなく、個人の価値観で判断していかないと成り立っていかない社会だ。自分の価値観をもち、働き方や生き方を判断し自ら決めてゆく。それができない限りチャンスを失い乗り遅れる。そうならないように40歳を前に一度自分のキャリアの棚卸しをお勧めする。取り返しがつかなくなる前に……。
事業構想大学院大学 特任教授 渡邊信彦
略歴
渡邊 信彦(わたなべ のぶひこ)

1968年生まれ。電通国際情報サービスにてネットバンキング、オンライントレーディングシステムの構築に多数携わる。2006年、同社執行役員就任。経営企画室長を経て11年、オープンイノベーション研究所設立、所長就任。現在は、Psychic VR Lab 取締役COO、事業構想大学院大学特任教授、地方創生音楽プロジェクトone+nation Founderなどを務める。