BtoC向けのインクジェットプリンタ市場では、4割(BCNランキングデータ 2016年暦年)と高いシェアをもつエプソン。コンシューマで培ったノウハウを生かし、08年にビジネス向けのインクジェットプリンタ市場に参入した。
レーザー方式が主流を占めるページプリンタ市場。エプソン販売は08年にビジネス向けインクジェットプリンタを投入し、11年にクラウドソリューションを含めて本格的に取り組み始めた。
コンシューマ向け市場で培ったノウハウを注ぎ込んだのは、製品開発だけではない。クラウドソリューション展開にも注力した。
コンシューマ向けインクジェットプリンタ「カラリオ」シリーズでは、11年に印刷したいドキュメントをメールに添付して、メールアドレスをもつネットワークプリンタに送信し印刷する「メールプリント」などのクラウドプリント機能の提供を開始した。
高山一樹
BP MD部企画課長
コンシューマ市場から始めたことについて、BP MD部の高山一樹企画課長は「スマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイスからの印刷を考えた時、当時、コンシューマユーザーのほうがスマートデバイスをもっている割合が多く、始めやすかった」と話す。
その後、ビジネスの現場で時間や場所を選ばない働き方「ノマドワーカー」が広がってきたことを受け、12年、複合機のスキャナやコピーの機能を活用したビジネス向けのクラウド連携サービスとして「Epson Connect」を開始した。メールプリントのほか、スマートフォンやタブレット端末から出張先のプリンタで資料の印刷やスキャンができる「Epson iPrint」、サーバーアプリケーションを導入したWindowsサーバーを設置することで、クラウドを経由せずに社内ネットワークで活用できる「メールプリント for エンタープライズ」などを提供。本社から支店のプリンタに直接印刷できるなど、場所を問わないプリンタの活用環境を提供した。
最近は、クラウドソリューションとの連携として、同社が展開する会計業務効率化を支援する「Weplat クラウドサービス」と連携させた「ウェプラット・クラウドサービス」を開始した。領収書・請求書などを複合機のスキャナを使ってスキャンし、クラウドに送信することで専任オペレータが仕訳入力を行う。人手が足りず、領収書の仕訳作業などが滞りがちな中小企業にとっては会計業務の効率化に結びつく。
今後、クラウドサービスとの連携は少しずつ強化していく。大企業への採用を目指し、自社だけではなくソリューションパートナーと連携してサービスを提供していく考えだ。
<プリンタ×クラウド>第6回 エプソン販売(下)セキュリティ対策からクラウドへ拡大