一般社団法人 みんなのクラウド 理事 松田利夫
略歴
松田 利夫(まつだ としお)

1947年10月、東京・八王子市生まれ。72年、慶應義塾大学工学部管理工学科卒業。94年から山梨学院大学経営情報学部助教授に就任し、現在、同学部教授。00年11月、きっとエイエスピーを設立し、代表取締役社長に就任。現在、「一般社団法人 みんなのクラウド」の理事を務める。
50年ほど前、私の大学時代、1年の教養課程を終えて2年からの専門課程の学科選択にあたり、各学科担当教員による学科説明会が開かれた。そこで後に師事することになる恩師が述べた説明が大変印象に残り、管理工学科を選択する一因となった。「管理工学という学問はスペシャリストを育てるものではありません。ジェネラリストを育てるものです。ジェネラリストとは、何かことを成すときに、それに必要な個々の部分問題を解決できるスペシャリストを適宜探して、その解決を依頼しそれを組み合わせて目的を達成できるように導く役割を担う人です」。当時は学問の学際化が進み、ジェネラリストの育成が求められる時代背景があったのだが、その後に国内で定着することはなかったように思う。
スペシャリストという言葉には「専門家」という日本語が直ぐに思い浮かぶが、ジェネラリストという言葉に対応する日本語は思い浮かばない。「万能家」という訳もあるが、これが使われるのを聞いたことはないし、ジェネラリストという言葉本来の意味を表すのに適切とは思えない。ジェネラリストは「何でもできる人」を意味するものではない。どうやらジェネラリストを適切に表す日本語はなさそうである。日本にはジェネラリストとしての資質、才能を評価し、適切な地位を与える組織的な仕組みがない。日本の組織では中間管理職の人々がこのジェネラリストの役割を担っているようにも思われるが、これぞジェネラリストだと思えるような才気溢れる人には、残念ながらなかなかお目にかかれない。
昨今流行りのSaaS、クラウド、ビッグデータ、IoT、人工知能などの概念のどれを取ってみても、はなはだ曖昧で広義の意味をもち、特定の専門知識や専門技術だけでくくり切れるものではない。一見新しく思われるこれらの概念は、何れも数十年をかけて幾重にも積み上げられ、推敲された理論や技術の基盤のうえに築かれており、相互に複雑に絡み合い、何れが欠けても他の発展に影響を及ぼすことは明らかである。これらのトレンドの先にある新たなビジネス機会を切り開く国際競争に勝ち残るには、それら個々の分野のスペシャリストの育成が必要なことは無論であるが、それに加えてすぐれたジェネラリストの育成が鍵となることをご理解いただきたい。
一般社団法人みんなのクラウド 理事 松田利夫
略歴

松田 利夫(まつだ としお)
1947年10月、東京都八王子市生まれ。77年、慶應義塾大学工学研究科博士課程管理工学専攻単位取得後退学。東京理科大学理工学部情報科学科助手を経て、山梨学院大学経営情報学部助教授、教授を歴任。90年代に日本語ドメインサービス事業立上げ。以降、ASP、SaaS、クラウドの啓蒙団体設立に参加。現在、「一般社団法人 みんなのクラウド」の理事を務める。