視点
アジアビジネス探索者 増田辰弘
2018/02/16 09:00
週刊BCN 2018年02月12日vol.1714掲載
創業者である上場企業のオーナーが、社会貢献のために財団法人をつくると、後は好々爺で、「よきにはからえよ」となる。しかし、アルプス技研の松井利夫会長が創設した「起業家支援財団」はまったく違う。起業家や奨学生の支援を松井理事長が前線に出て直接指揮する。ほかの多くの財団とは本気度がまったく異なるのだ。
そうなると不思議なもので、財団の職員、理事、評議員の本気度も高まってくる。監督官庁が理事会、評議員会議の出席率の高さに驚いたほどだ。創設以来10年で280人の奨学生の支援、50社の起業の支援を成し遂げた。
松井理事長は創業時、自宅で一人で設計業務から始めただけに、起業の厳しさも辛さも、甘さも骨の髄まで知っている。そのノウハウを時には厳しく、時にはやさしく起業家や奨学生に伝授した効果は計り知れない。
この起業家支援財団は創設10年を契機に幕を閉じ、今年の4月1日から北海道のとかち財団と合併する。今度は農業の第6次産業化に挑戦する。いわば、押しかけ女房のかたちで第二の起業家支援財団の創業である。
都道府県の域を超えた財団の合併、事業内容の異なる財団の合併と前代未聞の作業が進行中である。松井理事長は、やはり一番大事なものは人の食べ物をつくる農業であると考えた。今の日本にはこの視点が一番欠けているのではないかとの思いで、財団の次の10年は農業のイノベーションを支援することを始める。
具体的には、農業のアントレプレナーを育てる「フードバレーとかち人材育成事業」、企業や事業者などの「新規事業創発支援事業」、とかち地域に全国から資金、知恵、ノウハウをもつ人材を集める「トカチ・コネクション事業」など、魅力的な事業が満載である。
十勝地域は有数の大規模農地の農村地域で、帯広市、帯広畜産大学などの開明的な機関や企業、農家の多いところである。とかち財団も起業家支援財団のノウハウを加え、さらにパワーアップしようとやっきになっている。
人生は一度きり、それも限られた時間、空間、体力のなかでしか生きられない。100歳まで生きてもわずか3万6500日である。人生において、この限られた資源をどう生かすかが本人の才覚であるが、稀有な人材である松井理事長の次なる一手に興味津々である。
創業者である上場企業のオーナーが、社会貢献のために財団法人をつくると、後は好々爺で、「よきにはからえよ」となる。しかし、アルプス技研の松井利夫会長が創設した「起業家支援財団」はまったく違う。起業家や奨学生の支援を松井理事長が前線に出て直接指揮する。ほかの多くの財団とは本気度がまったく異なるのだ。
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