BCN FORUM

ゾンビが訴えられる

2002/01/21 15:27

週刊BCN 2002年01月21日vol.925掲載

 悪意を持つハッカー(クラッカー)の常套手段として、第3者のコンピュータに不正侵入し、そのパソコンを踏み台にして、攻撃を仕掛ける方法がある。その際、踏み台にされたパソコンは「ゾンビ」とセキュリティ業界では呼ばれている。

 では訴訟の際に、この「ゾンビ」の所有者である企業あるいは政府、個人は訴えられる可能性があるのか。

 米シマンテックのローレンス D.ディエッツ ディレクターは皮肉交じりにこう言う。

 「米国の弁護士は創造力が豊か。ビジネスになると思えば、その創意を十分に駆使するだろう」

 つまり、「ゾンビ」所有者が訴訟対象になるケースは否定できないのである。

 これまで米国内において、「ゾンビ」所有者が訴えられたケースは皆無。また、たとえ訴えられた場合でも「初犯」の場合は情状酌量の余地はあるとディエッツ氏は言う。ただ、社会的責任をもつ企業、とくに大企業においては、自社のコンピュータシステムを防御する責任があり、必ずしもこの限りではないとの見方がある。

 自社が何らセキュリティ対策を施しておらず、結果的に、他企業の莫大な損害に加担してしまった場合の賠償支払いは、悔やんでも悔やみきれない。
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