学生時代に大英博物館を訪ねた際、紀元前15世紀ほどのエジプトの化粧用具が展示してあるのを見て、「人間ってこんな大昔から化粧してたんだ!」と驚いた。

 顔や体に化粧を施す行為は、人類誕生以来、形は変われど世界各地で途絶えることなく続いている。化粧の起源は、「自然から身を守るため」、「神信仰に関わる祭りや呪術に用いるため」、「身分を象徴するため」、「コミュニティ形成のための規則から」など、いろいろな説があるそうだが、私は勝手ながら、人には化粧をする行為が「種の保存」の本能にひもづいて、そもそもDNAにプログラミングされているのだと信じている。で、化粧をしている中で、これらの意味が派生したのではないかと。そうでも考えないと、情報流通の手段などなかった古代に、各地でさまざまな化粧文化が存在したことの納得がいかない。

 鏡のない時代の化粧は、他人と互いに化粧しあう必要があったため、コミュニケーション上とても大きな役割を担っていたと考えられている。当時の化粧行為は、言語やジェスチャーと、より近しい存在だったのではないか。

 ちなみに、「化粧=cosmetics」の語源は、古代ギリシャ語の「宇宙・秩序=kosmos」。古来から、化粧が「自分と自分を取り巻く人や環境をつなぐ役割を果すもの」ととらえられてきたことがここからも伺える。(アイスタイル取締役 アットコスメ主宰 山田メユミ)