北斗七星

北斗七星 2002年5月13日付 Vol.940

2002/05/13 15:38

週刊BCN 2002年05月13日vol.940掲載

▼今年も決算発表のシーズンがやってきた。例年この時期になると、3月期決算企業の多くが報告資料を持ち込む東京証券取引所は、財務担当役員や関係者でごった返す。今年のピークは今週末の17日か翌週24日といったところだろうか。決算報告は企業にとって“通信簿”に相当するだけに、昨今の景況下、浮かない顔の担当役員も多いことだろう。すでに大手電機メーカーは一足早く先月末までに発表を済ませたが、その内容を見ると、大半の企業が落第点だと言わざるを得ない。

▼時価総額、株主重視の経営が求められるなか、より早く“通信簿”を公表・伝達すべく、発表者主催の説明会風景をインターネットで中継する企業も増えている。こうした試みはソニーが先駆けだったと記憶しているが今年はさらに携帯電話中継なるものも登場。NTTドコモは先週、決算説明会を第3世代携帯電話サービス「FOMA」の利用者向けに、生中継で映像配信した。実施にあたっては、現在試験提供している映像ストリーミングサービス「Vライブ」を活用。最大約2万台の端末から説明会の映像を生で見られるようにした。

▼もっともこの試み、IR情報の即時公開だけが目的ではなかったようだ。立川敬二社長によると「FOMAを活用した映像通信の新しい使い方を提案したかった」。昨年10月、世界に先駆けスタートしたFOMAだが、この半年間の加入者はまだ9万人。それだけに「今後の普及拡大には法人ユーザーの開拓が重要な課題」となっており、それには「新しいビジネスプロセスを提案できるような、FOMAの使い方を模索することが必要」という。いくら良い製品・サービスをつくったところで、効果的な活用法がなければ普及が難しいのは、どの業界も同じだ。
  • 1