BtoBやBtoCなど、電子商取引に関するさまざまな話題が一般に向けて盛んに報道されるようになるずっと前から、世界の有力企業がEDI(Electronic Data Intercha nge)システムを通じたオンラインによる電子商取引決済を行ってきた。しかし、次世代EDIを担うシステムを決定するための作業が思いのほか順調に進んでいない現在の状況が、IT進化の今後の道筋に不安な影を落としていることはあまり知られていない。

 高い運用経費と低い相互運用性のために、EDIは一部の大企業にしかその導入が許されなかった。この致命的欠陥を解消するために、関連業界全体を横断する多様な会員を擁するOASIS、および国連外郭団体であるUN/CEFACTの支援により、次世代EDIシステムの構築環境として設計されたソフトウェア技術規約がebXMLである。1999年に、OASIS会員である多くのEDIユーザー企業、またIBM、サン・マイクロシステムズ、アリバ、コマースワンなどの有力IT企業が中心となって研究が開始され、01年5月には1年半に渡る研究結果をebXML 1.0として総括し、この基盤に沿ったその後の研究成果が02月4月にはebXML 2.0として発表された。

 しかし、EDIユーザー業界とIT業界の叡智を注いだこれらの成果は、昨今台頭してきたウェブサービスの喧伝にかき消され、その利用価値が今まさに葬り去られようとしているようにみえる。ebXMLの設計では、今まで一部の大企業しか参加できなかったEDI市場を、世界中のありとあらゆる企業にむけて門戸開放しようとする強い意向が国連機関から働いた。これは特筆に価する。また、設計が進むebXMLに向けた盛んな研究や対応が、日本はもとより、シンガポールなどを含む勃興著しいアジアの各国からも積極的に発信されつつあったことは、国連機関の思いが、着実に世界へ伝播しつつあった事をも伺わせる。(米サンノゼ発)