旅の蜃気楼

<e-Silkroad編 アジアのIT利用技術立国を目指せ>その20 シルクロードが聞こえる

2002/05/27 15:38

週刊BCN 2002年05月27日vol.942掲載

▼インドのバンガロールは、e-Silkroadの端にあると前号で書いた。今週号でその地図を掲載しよう。昨年9月4-5日、札幌で開催された第1回目のe-Silkroadイン札幌のカンファレンス開催時に配布されたものだ。参加都市の名前が入ったイラスト地図になっている。シルクロードと最初に聞いたとき、喜太郎のシンセサイザーの音が聞こえた。「e」と「silk road」が結びつくんだ。なんとすてきではないか。今、そんな時に遭遇しているんだ、と感動した。それ以来、シルクロードの言葉を反芻している。

▼そのせいだろうか、最近シルクロードという言葉が目につく。今では情報入手の重要なツールになったメールマガジンのなかに、気に入ったのがある。そのひとつが「アジア国際通信」。その5月18日号「シルクロードとグローバル経済」では、ソ連から独立したキルギスの10周年について、次のような記事を掲載している。承諾なしに抜粋転載する。「…中央アジア、シルクロードに分け入った時、意外な『新しい発見』に行き着いた。シルクロードを軸とした中央アジア諸民族の複雑な興亡盛衰の歴史には、さまざまな言語と表記文字の問題が深く刻まれている。…普段はまず考えることのない“日本語の漢字表記”について…」。

▼言葉は人間について生き続ける。言葉のルーツは歴史の宝庫である。歴史年表は時代のある枠組みのなかで創られ、活字として生き延びる。吉川弘文館の年表もしかりだ。が、言葉は人々の生活のなかで生き続ける。例えば、こんな本がある。『山の名前で読み解く日本史』(谷有二著、青春出版社刊)。例えば、「東京の雲取山はルーツが熊野にある」と解く。北海道の地名が本州にもあるのと同じことだ。九州の山の名前のルーツが、文献をもとにして朝鮮半島にあると解く。また『漢字と日本人』(高島俊男著、文春文庫)を読むと、日本文化のルーツは漢字とともにあると書いている。シルクロードは漢字を伝えた文化の道でもある。

▼朝日新聞5月19日号「アジアハイウェー・21世紀の絹の道も」の記事で、アジアの31か国を13万キロで結ぶ壮大なロジスティック網交易ビジョンを知った。さらに日経新聞4月8日号では、政府のIT戦略本部が05年をめどに衛星を使ったアジア地域の超高速インターネット網構想を打ち出したとのニュースを報じている。IPv6を使ったアジアの広域電子商取引用のインフラだ。これを「アジア・ブロードバンド計画」という。これぞまさに、「e-Silkroad構想」ではないか。(旅の蜃気楼 本郷発・BCN主幹奥田喜久男)
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