ITテッなライフ

<ITテッなライフ>8.携帯電話とソルティードッグの夜

2002/11/25 15:26

週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載

 たまにはカクテルでも飲みましょお、と、あるBARへ出かけた。久しぶりに行く店のドアを開けると…。

 ありゃま。なんとBARの一部にヘアサロンとネイルサロンが誕生しているではありませんか。

 そんなわけで店は3分の2ぐらいのスペースに縮小されていたけれど、1階と2階席でおよそ80人ぐらいは座れそうである。

 店の人の「2階のソファでくつろげますよ」の言葉に従ったわたしたちは、ラグジュアリーなソファに奥深くもぐりこむ。

 そしてドリンクリストを受け取る。どういうわけか携帯電話も1つ受け取る。

 「これは?」と聞くと「1番を押して、注文してくださいね」とのこと。ほおお。今ではこんな使い方もされるようになったのね、ケイタイ!

 さっそく連れが1番を押して、カクテルなぞ頼む。

 大阪で年間4億円を売り上げるカフェがある。3フロア・200席の大箱だが、店の人はインカムを必要としない。お客さんに「ちょっと待ってくださいっ」と、タッタッと自分の足を使って、3階まで席が空いているかどうかを確認する姿勢を貫いている。

 そうすることによってお客さんは同じ血の通う人間同士であることを感じ、そこからコミュニケーションが生まれることを確信している、というのがインカムをつけない理由だ。

 お客からすれば、息をきらしながら「空いてました。(ハアハア)ご案内します」と言う店の人を見て、感謝こそすれ、待たせやがって…と怨む人はおるまい。すると、料理が運ばれるときに会話が自然に生まれる。そしてお客と店の人の空気がいい感じに溶け合うと、この店にまた来よう、このことを誰かに話そう、となる。それが口コミというものだ。

 携帯電話でオーダーされたカクテルをさっさと作って2階に運ぶだけ、をずっと繰り返していたら、お客との主な接点はお勘定の時だけではないかしら。

 ソルティードッグの縁の塩をちびちびと舐めながら思索した夜でした。
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