Letters from the World

中国の治安は本当に悪い?

2002/12/02 15:37

週刊BCN 2002年12月02日vol.968掲載

 最近、日本でも警察の検挙率が過去最悪になったなどと、治安の悪化が盛んに報道されている。日本を長く離れていると、実感がわかないが、逆に中国の治安の悪さは、実際以上に誇張されて語られているかもしれない。治安が悪いと言われている深の市街でも、一般に行動している限り、危ない目に遭うことはごく少ないが、コソドロや強盗の件数が多いのもまた事実。

 ただ、セキュリティに気を配り過ぎると、逆に困るという例を1つあげよう。現地に進出している日系大手の警備会社のビル管理システムであるが、このノウハウが当局をはじめ、裏社会では知れ渡っていることはあまり知られていない。似たようなシステムが現地で製造されたり、サービスされているという程度なら、まだ許される。

 誇らしげに、某防犯システム運用中、などといったステッカーを張っておくと、どうぞ襲ってください、と言っているようなもので、逆に危険なのだそうだ。市場経済の急速な発展に法整備が追いつかない中国では、外国人にとっては無法地帯のようなもの。守ってくれる法律が怪しかったり、守っているはずが、いつのまにか違法行為をしている、などといったことはごく日常的なことである。

 現地で多数の労働者を雇用している外国人管理者は命がけの仕事といっても過言でない。効率と営利も目指す限り、知らぬうちに労働者から恨みを買っていることは数知れない。特に解雇するときに、気をつけないと、いろいろと当局にたれ込まれたり、闇討ちに合う危険があったりするる。台湾から現地に赴いている経営者は、ボディーガードをしばしば雇っている。中国の人事管理においては、あまりにドライにやっても反感を買うし、優しくしすぎると裏切られたりと、難しいさじ加減が要求されるのだ。

(中国深圳発)
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