サーバーに関連したトピックとしては、仮想化基盤市場での製品体系の大きな変化や、2027年の「Windows Server 2016」のEOS(サポート終了)があります。
山梨(エフサステクノロジーズ) Windows Server 2016からWindows Server 2025への移行は着実に進んでいます。また、仮想化基盤の見直しを行うお客様も増えています。当社では、米Nutanix(ニュータニックス)の技術を用いたHCIソリューションである「PRIMEFLEX for Nutanix」の展開を強化しています。実績も堅調に積みあがってきており、今後もこの流れが続くと見込んでおり、専任の技術者育成にも力を入れています。お客様がオンプレの仮想化基盤を見直す契機が来たことで、代替となるソリューションの検討が進むという点から、ビジネスチャンスと捉えています。
岡野(デル・テクノロジーズ) 仮想化基盤の切り替えの検討を始める動きが出ている一方、実際には移行リスク、コストなどから従来の基盤を使い続ける選択をするお客様もかなり存在します。ただ、単一のテクノロジーに依存すると何が起き得るのかという点について、認識が深まったのは間違いないです。当社は、三つの代替ソリューションに注力しています。一つは、米Microsoft(マイクロソフト)の「Azure Local」で、「Dell AX System for Azure Local」としてシリーズ展開しています。Windows Server 2016のEOSも重なり、移行先として活発です。二つめがニュータニックスで、当社も改めて協業を強化しながら、「Dell XCファミリー」最新世代を投入したことです。三つめはDell独自のソフトウェア定義型ストレージ「PowerFlex」による新しいITインフラで、大規模環境向けの新しい選択肢として提案しています。
阿部(HPE) 代替の選択肢を四つ提供しています。まず、Azure Localは「Hyper-V」の仮想化機能の進化で関心が高まっており、すでに切り替えを完了した実績も出ています。ニュータニックスについては、当社の「HPE ProLiantサーバー」と組み合わせたDXシリーズが人気です。また、当社独自のKVMベースの仮想化ソリューション「HPE Morpheus VM Essentials Software」は、特に中堅・中小企業に向けて2025年2月に提供を開始し、最小コストで必要十分な機能を提供できるソリューションとして販売パートナー様とともに検証コミュニティも立ち上げて推進してきました。実は8月のバージョンアップで多くの進化があり、引き合いや実績が一気に広がってきています。また、既存の「VMware」環境の「VMware Cloud Foundation(VCF)」構成のリプレース実績・公開事例も生まれています。お客様の環境・ニーズに合わせた複数の選択肢を提供・サポートして参ります。
早川(レノボ) 代替の動きの中でニーズは多様化しています。Azure Localは、以前は中小企業が中心でしたが、現在は大規模なお客様の検討対象にもなってきました。また、Windows Server 2016のEOS対策として、ESU(拡張セキュリティ更新プログラム)の利用権に注目しAzure Localに移行する動きもあります。さらに、「OpenShift」「Proxmox」「Oracle VM」など、マルチハイパーバイザーの検討も活発化しています。特にOpenShiftは、コンテナだけでなくVMをサポートするSKUも登場し、新しいHCIの選択肢となっています。
AI目的のサーバー需要は中堅・中小企業にも拡大
AI導入が本格的していると言われますが、実際のGPUサーバーの需要はどのように推移していますか。
山梨(エフサステクノロジーズ) 中小企業や比較的小規模なお客様もAIに関心を持ち、何かしらの取り組みを始めています。クラウド利用への抵抗感や、企業内のデータ漏えいのリスクを懸念する声があるため、当社は「Private AI Platform on PRIMERGY」というAIソリューションを提供しています。これは、オンプレミスで手軽に生成AIを使える環境を提供するものです。主に、お客様自身のデータ、例えばマニュアル、社内ルール、問い合わせ履歴など、社内ナレッジを有効活用するために利用されており、その後の本格的なGPUサーバー導入へのきっかけ作りにもなっています。
阿部(HPE) 一つはエンタープライズAI市場の開拓で、パートナー様と共にオンプレミスAI市場の本格開拓を目指します。「HPE AI Innovation Hub」というソリューションセンターを東京本社に開設しており、販売パートナー、ISVの方々が持つAIソリューションをProLiantサーバー上で検証したり、デモ展示したりできる場として活用いただき、お客様に「AIで何ができるのか」というユースケースを示し、一緒に販促活動をできるようになっています。二つめは、2027年1月に迫ったWindows Server 2016 EOSなどによりサーバーOSや仮想化基盤の入れ替え需要が増加するなかで、パートナー様が時短でスムーズに移行を提案できるように、人気構成をパッケージ化した「HPE Smart Choice」を約1年前から提供・拡充しています。特に2026年はWindows Server 2025プリインストールモデルを販売パートナー様の商材として活用いただきたく推進していきます。これにカスタム構成に対応するオンラインストア「HPE DirectPlus」と併せて全国での提案を強化します。
山梨(エフサステクノロジーズ) 当社は、富士通本体からの独立に伴って、販売パートナーとの協業が以前よりも進んでいます。AIをはじめとする先進技術への取り組みを強化しており、例えば、前述した「Private AI Platform on PRIMERGY」に、パートナー独自のAIソリューションやLLMを稼働できるようにするため技術面でサポートし、他のパートナーを含めて広い販路で提供できるようにしていくなどの協業を進めています。また、私たちにお客様の声が届きやすくなったことから、それを反映した製品づくりにも力を入れています。
阿部(HPE) Windows Server 2016 EOSの需要は、2026年の大きなビジネスチャンスと捉えています。また、HPEの3本柱であるサーバー、ストレージに加え、ネットワークの「Juniper」統合により、Juniperネットワーク製品を扱ってこられたディストリビューター、パートナーの方々とも連携を強化し、トータルでの拡販を図っていきます。
岡野(デル・テクノロジーズ) Dellは水冷、空冷に強みがあり、サーバー市場ではWindows Server 2016 EOS、新しいインテルのCPUもリリースされるなど、業界の動きが活発です。パートナー各社のビジネスもその流れに乗れるチャンスですし、我々はしっかりサポートしていきたいと思います。