Letters from the World

加速する中国の携帯電話市場

2003/03/31 19:47

週刊BCN 2003年03月31日vol.984掲載

 中国は携帯電話の加入者が2億人を超える世界一の市場である。従って、市場参入しているハンドセットのメーカーは欧州系、米国系、日系、台湾系、そして国産という具合に入り乱れる。現行のサービスはGSM方式がほとんどだが、日本のPHS方式も一部採用されている。国内生産が高額な輸入税などをクリアするための一般的な方法となっているため、ほとんどのメーカーが国内で製造している。

 国内の大手メーカーは当初は日本などから技術や部品を導入していたが、最近は独自デザインの高付加価値付の機種も投入するようになった。その結果、市場の争奪戦はきわめて激しくなった。中国では以前、固定電話のインフラが整っていなかったため、逆に携帯電話の普及に弾みがつく結果となった。今はそれほどでもなくなったが、携帯電話をもつこと自体がステータスシンボルでもあった。中国は日本と違い、ホテルのロビーや喫茶店などで利用が規制されていることが少ない。

 もともと、人が集まると騒がしさが目立つ北京語や広東語のなかにいると、携帯電話を利用する人がいたとしても、周囲はさほどうるさく感じないのかもしれない。その中国で、今年は第三世代のサービスがいよいよ本格化する。さすがに巨大な市場を背景にしているため、W-CDMA、CDMA2000という欧米主導の規格に加え、中国独自のTD-SCDMAと呼ばれる規格も採用され、合計3方式が併存することになるわけである。

 これらの規格に載るアプリケーションの分野、すなわちメーラ、ブラウザなども各国からの売り込みが激しい。iモードで実績のある日本勢、ヨーロッパの大手キャリアに採用されたインドのソフト会社などがしのぎを削る。今や、中国市場を制すると世界を制すると言われるくらいである。中国の携帯市場はますます活気を帯びてくる。(中国・新セン発)
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