ようやく6月24日に東京証券取引所第一部への上場を果たしたセイコーエプソン。草間三郎社長は、「いつか上場しようと計画したのが約20年前。ここに来るまで時間がかかった」と感慨深そうに話す。今回の上場は、決してマーケットの環境がいいとは言えないタイミングにもかかわらず、上場後初値は3690円。

　株価はマーケットが決めるものとはいえ、「景気低迷が長引いており株安が続いていたので、ホッとしたというのが正直なところ」と、上場当日は心配で気もそぞろだったという。初値が予定価格を上回ったことも草間社長が「ホッとした」という大きな要因だろう。

　「幹事証券会社の株価ボードを見ていたが、買い注文が多くてなかなか値が付かなかった。初値が付くのは昼頃だろうと言われて、その時はいったんホテルに引き揚げてしまった」とか。しかし、ホテルに戻った直後の午前10時25分に初値が確定した。

　そのため、「その瞬間を見逃してしまった」といかにも残念そうな表情。長年上場をうわさされながら、なかなかタイミングが合わなかった。

　長い時間待った瞬間なのに、痺れを切らしてタッチの差で見逃したのは悔しそうだが、市場の好評価にまずは一安心といったところだ。