ソウルの街角から

<ソウルの街角から>21.アカスリの世界

2004/03/01 19:47

週刊BCN 2004年03月01日vol.1029掲載

 韓国といえばカルビにアカスリと言うほど、定番観光コースになってしまったアカスリだが、韓国人にはごく普通の日常だ。家のお風呂でも銭湯でも、週に1度はアカスリしないとすっきりしないほど、子供の時から体が慣れてしまっている。観光客用のサウナに行くとアカスリにマッサージ、塩袋、蓬蒸し、うぶ毛取りなどコース一式で進められるが、肝心なのはアカスリ! 韓国の女性は銭湯やサウナの施設ではなく、アカスリの上手さで常連になるので、どこもベテランのアカスリおばさんを誘致しようと競争が激しい。

 私の家族も10年近く体をゆだねた(?)アカスリおばさんを追いかけてバスで40分のチムジルバンに通っている。チムジルバンとは銭湯とサウナとオンドル部屋が一緒になった健康ランドで、炭や黄土、アメジストなどが床に敷いてあるオンドル部屋がいくつも並び、24時間汗を流せるのが特徴。

 オンドル部屋は白いTシャツに短パンを着て入る男女共用で、家族みんなでわいわいできるのが楽しい。施設も大きくゴージャスで、チムジルバン1つ5000坪規模のところもある。こういうところは建設費、インテリアで15億円ほどかかるそうなので、入場料1000円は安過ぎるかもしれない。どこも24時間営業で、日本のように時間制限するところもない。旅先の宿泊代わりにもよく使われている。

 アカスリおばさんは(おじさんも)みんなちゃんと「沐浴管理士」教育を受けた人達だ。福祉施設や個人が運営する学校に登録し、タオルの握り方から、体力を消耗しないアカスリ方法、顔や全身マッサージまで経歴10数年の専門家にコツを教えてもらう。仕事が手に馴染むまで2-3年はかかるが、口コミで有名になれば毎月の収入は50万円を下らないというからすごい。でも人件費の安い中国の朝鮮族や、男性だと東南アジアやアラブ系の外国人が参入しているので、収入は減る一方だそう。

 アカスリというと数年前までも力仕事として最後に選択する道と考える人がほとんどだったが、今ではどんな商売よりも正直にお金を稼げるからという理由で若い人も結構集まるそうで、実際きれいなお姉さんがアカスリをしているチムジルバンも多かった。

 ここで1つアカスリのコツを公開すると、まず十分垢をふやかすこと、そして押すのではなく引っ張る時、手に力を入れリズムに乗ること。こうすると垢も出やすく痛くもないそうだ。アカスリの後は必ずボディーローションを塗り、肌の保湿を保つことも忘れずに。今日は自宅でアカスリどうですか?
  • 1