日本で売られているソフトウェアの多くは海外で作られている。当たり前に使われているウィンドウズやオフィス、グラフィックスソフトウェアなどは海外製のソフトウェアである。私は米国で19年近く海外から日本向けにソフトウェアをライセンスして販売してきた。今はライセンスではなく自社開発のソフトウェアを日本にも販売させてもらっているが、日本で海外ソフトウェアがなぜこれほど力を持つのかということを考えるきっかけが先日あった。

 私の会社にホームページを作って欲しいと女性起業家が来た。その時、彼女は「日本茶にトライしたい」と言った。そこで、キッチンに向かおうとした時、彼女は「お砂糖もお願い」と言った。

 この時に、米国人は日本茶に砂糖は入れないということを知らないんだと思ったと同時に、日本を知らない外国人がつくったソフトウェアがなぜ日本で売れるのかということに気がついた。

 日本人が海外のソフトウェアを日本市場にもってくる場合、「日本語化」という作業を行う。これは、ソフトウェアを日本語で使えるようにする処理を意味するのだが、これには翻訳以外の作業も発生する。それは、インチからセンチへの変換である場合もあるだろうし、メニューのレイアウトの変換、マニュアルの書き直し、パッケージのデザイン変換などがある。

 これは、いってみれば日本茶を米国人に出す場合に最初から砂糖を入れておくようなものだ。そしてその作業を行うのが商品を売ろうとする外国人ではなく「日本人」なのだ。日本人は、海外のソフトウェアを日本国内で販売するために、日本人に合った味付けを行っているのだ。

 それに比べて日本のソフトウェアが海外に出る場合はどうか。米国人は自分から日本のソフトウェアを改造するという考えを持っていない。せいぜい日本人が外国人を雇ってメニューなどを英語にするだけ。それでは米国人が日本茶に砂糖を入れたいと思っているなどということはわからない。それではなかなか海外でソフトウェアは売れないのである。(米シアトル発)