▼「通信の自由化の次は、放送の自由化を行うべき」─今から15年前、当時企画局長だった山口泰・前日本銀行副総裁と北斗子はそんな議論をしたことがある。バブル崩壊後の難しい経済運営の舵取りをしていた山口氏にとって、規制緩和と自由化にほど遠い放送業界を苦々しく見ていたのかもしれない。

▼10年を経て、e─Japan戦略がスタートした01年。IT戦略本部はITの規制改革の方向性として「通信・放送の融合の促進を図るべき」との画期的な提言をまとめていた。当時の氏家齊一郎民放連会長は「重大な規制改革の具体策を検討する際には、放送事業者をはじめとする関係者の意見を十分に聞き、慎重な議論を重ねるべき」と強く反発。議論は凍結されたまま、3年の月日が流れた。

▼昨年2月のライブドアによるニッポン放送株取得は、まさに太平の眠りを揺り動かした黒船襲来だった。4月にはUSENのパソコンテレビ「GyaO」の放送がスタート、10月には楽天によるTBS株取得による経営統合申し入れと、放送業界への外圧が一気に強まり、これにNHK改革の問題も加わってきた。

▼通信自由化が実現してちょうど20年が過ぎた。NTTが民営化された3年後にデジタル通信サービスが始まり、わが国は情報通信社会の幕を開けた。地上デジタル放送に全面移行する2011年までは、あと5年。竹中平蔵総務大臣が今年立ち上げる私的懇談会、通信と放送の在り方に関する懇談会で、どのようなシナリオを書くのだろうか。