旅の蜃気楼
五十肩と秋空とバウムクーヘン
2006/10/02 15:38
週刊BCN 2006年10月02日vol.1156掲載
▼東京は数日前から突然寒くなった。久しぶりに高尾山に登った。痛い右肩をそっと回しながら登った。高尾山は気軽に登れる人気の山だ。紅葉にはまだ早い。が、山を楽しむ人でおおいに賑わった。頂上の一丁平で「ごろん」と寝そべった。空が真っ青だ。秋だ。刷毛で掃いたような雲が流れていく。虫の音がする。うとうとしながら、秋の気分を楽しんだ。一眠りした。肌寒さを感じて起きた。
▼明日の朝は早くから中国に出かける。三国志の呉の国の街・長沙に出かける。初めて訪ねる街だ。インターネットで気温を調べた。30度を超えている。真夏に逆戻りだ。今年は暑い夏をドイツで過ごした。ワールドカップの日本対オ-ストラリア戦をピッチの目の前で観た。負け試合はとても惨めだった。暑さが敵に味方した。が、新しいオシムジャパンがスタートした。気分を変えよう。
▼ドイツの伝統菓子にバウムクーヘンがある。切り株の模様をしたおいしい菓子だ。ドイツのお土産はこれに決めていた。帰国が近くなって、ドイツの友人に道案内を依頼した。「バウムクーヘンを買いたい」と何度もいうのだが、「そんなものはない」。発音を変えたり、菓子の形を絵に描いてみたが、平行線だ。ついに友人は携帯でワイフに聞いた。それは「リープクーヘン」というらしい。それも違う。双方の思いが食い違ったまま、結局、それらしき菓子を買って帰国した。それは“ドイツの森の木”に似た形で、砂糖で固めてある。切ってみると、切り株だった。さっそく、ユーハイムのホームページで検索した。彼が正しかった。知らないことは実に多い。(BCN社長・奥田喜久男)
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