【本郷発】仲間とはありがたいものです。BCN創刊25周年記念号(前号)を刊行したところ、読者の皆さんから多くの激励メールなどを頂いた。この紙面を借りて御礼を申し上げます。なかには嬉しい悩みのプレゼントも頂いた。創刊の年である1981年もののワイン。いつ飲んだらいいのでしょうか。すぐ飲む、1年後に飲む、25年後(82歳の時)に飲む。とても悩んでいます。嬉しい悩みは大歓迎ですよね。ありがとうございます。

▼産業は生き物だ。記者の目でコンピュータ業界を見続けて35年になる。例えば、企業の設立年度をみると、おおよそ業容がわかる。60年代設立の企業は計算センター。70年代のそれはオフコンディーラー。80年代はパソコン企業だ。ヒーローはそのつど生まれた。ところが1991年、コンピュータ業界に異変が起きた。IBMが創業以来初の赤字決算を出した。このニュースにはとても驚いた。IBMは巨人だったからだ。損失金額は通期で28億2700万ドル。さらに3年間の赤字を続け、94年ようやく黒字に脱出した。巨人の死闘は熾烈だった。一方、新参者のパソコン企業は真夏の入道雲のように、むくむくと成長した。マイクロソフトは95年、Windows 95を発売して、パソコン産業の王者になった。ヒーローはIBMからマイクロソフトに代わった。誰が予想しただろうか。

▼同じ年の95年に、ヤフー、アマゾンが産声を上げ、98年にはグーグルが誕生した。ネットビジネスを起業する勢いは20代の若者がつくった。彼らは共通して株式公開を目指した。億万長者が生まれ、バブル化した。行き過ぎは2001年のバブル崩壊を引き起こした。それでも若い世代の起業は続き、Web2.0時代を形成した。ヒーローはどんどん若年化している。彼らは社会を揺るがす力を持った。ビジネスモデルの着想と実行、それを支えるIT技術、株式公開による時価総額だ。

▼今、ヒーローは誰なのか。マイクロソフトは一時代のIBMの風格を備えた。アップルはiPod文化を確実に築いた。ヤフーか、アマゾンか、グーグルか。Webの時代は始まったばかりだ。今の段階でヒーローを決めつけてはいけない。探索の旅はまだ続く。ワインは当分お預けだ。(BCN社長・奥田喜久男)