▼心が洗われる思いのする青年と話をする機会を得た。井上恭輔君、21歳。岡山県は津山高専の学生だ。高専プロコンで最優秀賞を獲得し、昨年、第1回のBCN ITジュニア賞で表彰された人物である。毎年1月、当社では「BCN AWARD」および「BCN ITジュニア賞」と称する表彰イベントを開催している。昨年のITジュニア賞受賞者の井上君は、「恩返しをしたい」と、高専プロコンで優勝した作品の改良版を会場に持ち込み、イベントに華を添えてくれた。

▼彼が初めてパソコンに触れたのは、中学生の頃だった。母子家庭で、けっして裕福ではなかったから、パソコンは大きな買い物だ。こつこつ貯めた小遣いを元手にし、母親にねだると、「将来、大物になるための投資だよ」といって買い与えてくれたそうだ。以来、プログラミングに夢中になり、“プロコンの王者”への扉を自ら開いた。

▼2002年のプロコン初参加でいきなり最優秀賞を獲得。翌年は審査員特別賞にとどまったが、その悔しさをバネに、04年、05年と連続して最優秀賞に輝いた。作品開発の底を流れるのは「人と人とのつながり」。ネットワークを通じて、未知の人とのコミュニケーションをとりたいというのがコンセプトだ。

▼話していて、興にのってくると目がキラキラ輝く。「外資ではなく、国産メーカーで製品を開発したい」と、“愛国者”の一面ものぞかせる。こんな若者が明日のIT界を担ってくれるのなら、日本もまだまだ捨てたものではないと思う。