社長に取材する際、インタビュー時間に余裕がある時は「経営に一番役立った書籍は?」と尋ねる。その人の考えを知る材料になり、記者の個人的な興味もあってこの質問を投げかけるのが習慣になった。

 ほとんどの社長が1冊は書名をあげる。歴史小説や流行の現代小説など個々の趣味嗜好によってさまざまだが、なかでも多く登場するのが、デール・カーネギーの「人を動かす」「道は開ける」と、ピーター・ドラッカーの「365の金言」「経営者の条件」。いずれも世界的に有名な、経営のあり方を説いた書籍だ。他の作家が書いた書籍では「ビジョナリー・カンパニー」や「7つの習慣」も多いが、この2人の書籍の登場回数が圧倒的に多い。

 先日、ある事務機大手の社長に取材する機会があった。その社長が口にしたのもドラッカーの「365の金言」だった。「ドラッカーに影響を受けすぎているかもしれないが…」というほど熱烈なファンのようで、本から学んだ一例として「経営者は真面目で真摯であること」とも。

 「社長は孤独」とよくいわれる。であるならば、著名な経営学者の書籍に頼る気持ちも分かる。「人を動かす」には、「上に立つ者は孤独」とは記述されていない。だが、「書かれた通りに行動すれば、孤独な気持ちを癒し、奮い立つ気持ちになるだろうな」と思わせる言葉が確かに多い。経営者の良き助言者なのだろう。(鈎)