▼「ヘリコプター・マザー」というのが話題になっている。わが子の頭上を旋回しながら見守り、火急の際には急降下して救いの手を差し伸べる様子を指している。大学の就職相談窓口には子の代わりに親が訪れる、結婚相談所では必死になってわが子の伴侶の候補を探す…。ひと昔前の世代には、常軌を逸している行動にしかみえない。

▼しかし、考えてみれば、かつてのわが国の産業界は官という「ヘリコプター・マザー」に見守られて育ってきたともいえる。海外から「ノートリアス・ミティ(悪名高き通産省)」とまで呼ばれたような、強力な官僚主導の国内産業育成策がとられてきた。行き過ぎた規制は競争力をそぐなどの理由から緩和が進められてきたが、タガが緩むととんでもない不祥事が起きたりする。北海道で発生した牛ミンチ偽装事件は、規制緩和というよりも農政局が何もしなかったことが事件を拡大させた。

▼IT関連では、総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」が中間報告を発表した。ネット経由のテレビ視聴が普及するなど、通信と放送の垣根が低くなる実情を踏まえて規制体系を整備する狙いだ。

▼吉本興業のトップを務めた中邨秀雄氏に、一癖も二癖もある芸人のマネジメントについて聞いたことがある。「鵜匠みたいなもんですわ。手綱を引きすぎると首が締まって鮎を獲りよらんし、緩めすぎるとどこへ飛んでいくかわからへん。要はその按配ですわ」。規制の手綱さばきが監督官庁に求められている。