北斗七星

北斗七星 2007年8月13日付 Vol.1199

2007/08/13 15:38

週刊BCN 2007年08月13日vol.1199掲載

▼「生活が第一」「成長を実感に!」──7月の参院選挙で使われた選挙用キャッチフレーズだ。前者を掲げた民主党に、勝利の女神が微笑んだ。一方、自民党のほうは環境、教育、憲法改正など、直近の難題を置き去りにして、未来志向に走って惨敗した。

▼ゲーム機器業界でも、同じような現象が勝敗を分けている。任天堂の「Wii」や「ニンテンドーDS」は、子供や家族で楽しめる仕様が満載。ソニーなどの機器は、リアル過ぎるほどの映像技術を採用。プロシューマーに訴求したが、上達しない(成長を実感できない)ユーザー離れをもたらした。ゲーム機器は世界で利用されているため一概にくくれないが、「生活者」の視点に立つ任天堂が勝利した。

▼先日、母親と2人暮らしの北斗子宅に37型の薄型液晶テレビが届いた。家電量販店で購入時に「設置代」として数千円を払ったが、設置に立ち会った母の満足度は低かった。設置業者は、ケーブル類に加え、主要チャンネルを設定してくれた。しかし、民放の地上デジタル放送の設定は別サービス。で、当日に観たかった「韓国ドラマを見逃した」と、憤懣やるかたない。

▼AV(映像・音響)機器が、イマイチ爆発的に売れないのは、こんなサービス面の問題かもしれない。家庭内でテレビを占有するのは、昼間に在宅する老人たちだ。機能は高まったが、こうした生活者の視点が不足している。高機能に加えてサービスを充実させていけば、市場にも光が差しそうだ。
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