▼経済産業省が集約する「特定サービス産業」の統計調査を見ると、IT産業は東京、名古屋、大阪地区で売上高の8割弱を占める「三極集中型」の産業構造であることが分かる。これ以外の地域ITベンダーは、東名阪の中堅・大手ITベンダーから「下請け」で受注し、生計を立てている構図も見えてくる。

▼「下請け」に支えられた地域には、高専や工業高校などでIT人材の卵が生まれている。しかし、地元には、全国で活躍するようなメルクマールとなるITベンダーが存在しない。いきおい、彼らは東名阪に仕事を求め、生まれ故郷を離れていく。このため地域IT産業は「空洞化」してしまうのだ。IT産業が成長をし続けるには、この「負のスパイラル」を食い止める必要がある。もっとも、こうした現象を見直す兆しは出てきつつある。北海道や九州などIT産業を「次の産業」に育てようとする地域では、東名阪からの「下請け」に頼らず「地元回帰」の動きが見え始めた。

▼九州のある受託ソフトウェア開発会社はこう言う。「時間はかかるけど、地元企業のIT化に貢献する」。今まで、「地元の中小企業相手では、ITへの関心が薄く収益をあげるまで時間を要する」との判断で、県外へ仕事を求めていた。しかし、中小企業はむしろ地域に多い。地域にあるITベンダーが地域の中小企業をIT化しなければ、国内の「労働生産性」はいつまでも停滞したままになる。こうした気概をもつITベンダーを応援したいと思う。