▼何か変だなと、ずっと感じていた。「排出量取引」というやつである。国や企業ごとに温室効果ガスの排出枠を割り当て、枠を超えて排出した国(企業)と枠が余っている国(企業)との間で排出枠を取引する制度だとされている。そもそもこの制度は1997年12月、「地球温暖化防止京都会議」での京都議定書によって誕生した。そういう経緯からすれば、日本が主導権を握っていいはずだが、年月を経てEC諸国にヘゲモニーが移り、京都議定書の非加盟国である米国や中国が排出量取引で主導権を握るというような奇妙な現象が起きている。

▼いつの間にか一人歩きするようになった「排出量取引」によって、肝心の地球温暖化防止が霞んでしまった印象をもつのは私だけではないようだ。かつて本紙でポストコンピュータ時代の到来について言及してもらった原丈人さん(デフタ・パートナーズ会長)もその一人だ。6月23日付の日経新聞でインタビューに応えている彼の主張によれば、中国などの「京都議定書の非加盟国は排出削減に努めるより、排出枠を売ってもうけようとしがち」と断じ、排出量取引が投機の対象として、サブプライムローンに次ぐ標的とされると警鐘を鳴らしている。

▼7月7日から洞爺湖サミットが開催される。この会議の最大のテーマは、地球環境、気候変動に関する問題。グリーンITの推進など、官民あげて温暖化対策に取り組んでいるわが国の姿勢を、諸外国にアピールするチャンスとして生かしてほしい。