「預けるか」それとも「自分で持つか」――。

 貴重なデジタル情報資産を管理するのに、企業はどちらを選ぶのが最良なのかについて悩んでいる。大事な資産を自社で管理するほうが安心できると考えるか、それとも専門業者に任せるのが適切とみるべきか。


 この議論は、かつて「個人情報保護法」が成立・施行された時に盛り上がったことがある。再燃している理由は、SaaS型サービスが騒がしくなってきたからだ。


 SaaS型サービスでは、ネットワークを通じてアプリケーションを提供する。そうなると、重要情報がネットワークを流れることになり、保存先はITベンダーのデータセンターということになる。「自社で保持する」ことが一般的だったデータ資産を、必然的に「預ける」ことになるわけだ。


 SaaS基盤ミドルウェアを開発するベンダーはこう言う。「SaaS普及の足かせ要因が何かって? 技術やビジネスモデルが確立していないから? そんなことじゃない。貴重な情報を他人に預けることに対するユーザーの抵抗感があるからだ」。


 個人のお金であれば、自宅のタンスに現金を保管する人はごく少数で、大半の人は銀行に預けているだろう。だが、情報はその逆の考え方が一般的。


 「ヒト」「モノ」「カネ」に匹敵するくらい重要と言われる情報。「預ける」という行為がもっと盛んになっていいはず。そうならないのは、ネットを介在させることに不安要素があるためなのか。(鈎)