旅の蜃気楼

猿、馬、犬──動物との深い関わりの話

2008/11/10 15:38

週刊BCN 2008年11月10日vol.1259掲載

【本郷発】かつて犬山モンキーセンターに行った時のことだ。ここにはいろんな猿がいる。参るのはその臭い。テレビ桟敷とライブの違いは“嗅覚”だ、などと納得しつつ、くさいのを我慢しながら歩いた。しばらくすると、「この臭いはなんだ!?」と驚くほどのきつい臭いに出くわした。どこかで嗅いだ記憶があるぞ。そうだ、夏山のきつい登り坂を汗をかいて登りきって、休憩した時のことだ。自分の汗臭さに、辟易したことがある。「あの臭いと一緒だ」と思った瞬間にその臭いの源の檻を探した。ありました。『オランウータン』です。以来、彼らのことを「オランちゃん」と愛称で呼ぶことにしている。

▼アメリカにあるヨセミテ公園はロッククライミングのメッカだ。ここは“ハーフドーム”の岩で有名だ。古代に氷河で削り取られた跡が半円形にきれいに残っている。その岩を見に行った折、馬で大きな公園内をトレイルすることにした。ここで初めて馬に乗った。楽しいではないか。それにしても背の高いことよ。目線が高いから景色が違って見える。首筋を触ってみる。なんと“温かい”ことか。その記憶があって、映画『三本木農業高校、馬術部』を観た。この脚本は岡田茂さん。以前、BCN編集部で“デスク”の愛称で親しまれていた人物だ。彼は映画を作るといって次のステージに飛び出していった。スクリーンに釘付けになりながら、馬と人との触れ合いに泣いた。

▼生き物に対する感動ばかりでなく、イラストの動物にも心を奪われることがある。それは私たちが毎月発行しているフリーマガジン『BCNランキング』の表紙に登場してくる少し太めの犬のことだ。初登場は2006年11月25日。今月で満2歳の誕生日を迎えるにあたって名前をつけることになった。マガジン編集部を中心に社内公募して決めた。命名「キング」。この犬はオスです。気の早い編集部員はファミリーを作ろうとか、猫好きの社員はメスは猫にしようとか、いろいろ夢のある家族計画が進んでいます。週刊BCNは紙面が硬派なため、こうした話には縁が薄いようですが、編集長が馬好きですから、乞うご期待といったところでしょうか。動物と人の関わりは奥が深いですね。(BCN社長・奥田喜久男)
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