▼国内の大手製造業で派遣・期間従業員の雇用削減が相次ぐ。IT関連ではキヤノンやソニー、東芝などと枚挙にいとまがない。世界経済の低迷で製品の販売が落ちていることが理由だ。消費が鈍化すれば生産縮小はやむを得ないとはいえ、「この道はいつか来た道」の感がある。

▼このご時世、街頭で「従業員をゴミのように捨てるな」と叫ぶ労働組合のシュプレヒコールが耳に沁みる。いま吹き荒れている“解雇の嵐”は「バブル崩壊後」にも遭遇した。あの時も「みんなで渡れば怖くない」とばかりに、大手製造業を中心として解雇の山を築いた。周りと歩調を合わせれば目立たない、とばかりに。

 



▼一方で、採用を増やす企業もある。家電量販店のノジマは「売り手市場」では採用できなかった優秀な人材を得られると判断。こうした気骨のある企業こそが、将来の果実を手にするはずだ。人員削減を余儀なくされる大手製造業とて「身を切る」思いだろう。景気回復の兆しは当分見えない。金融機関の融資引き締めも見え隠れする。この間の政府の無策は目を覆いたくなる。

▼政府の地方分権改革推進委員会が出先機関の統廃合や地方への権限委譲を勧告した。全国のIT業界を取材する際、地方の経済産業局に立ち寄る。担当者にエリアの状況を尋ねるとIT化の進捗に差があり、業界の進展に「格差」が生まれる心配すらある。業界の活性化は地場をよく知る地方行政に委ね、政府は無駄を省いて景気回復策に予算を配分する必要がある。