旅の蜃気楼

魚釣る人、山歩く人

2009/07/20 15:38

週刊BCN 2009年07月20日vol.1293掲載

【奥武蔵発】よく釣れる、よく釣れる。ここ鎌北湖では、十数人の釣り人たちが湖面に立つ細長い浮子を見つめている。突然、竿がしなう。糸の先にキラキラと魚が舞う。へらぶなが水面に顔を出す。あちらでもこちらでも、ピチピチと飛び跳ねる。釣り人は練り餌を針につけて、また浮子を水面に返す。魚も湖水に戻っていく。なんとものどかな光景だ。

▼鎌北湖は埼玉・奥武蔵域にある農業用貯水池だ。私たち“IWC”、すなわちインターコム・ワンダーフォーゲル・クラブのご一行様8名は西武池袋線の高麗駅から山道を歩いてきた。10時15分に駅で待ち合わせ、線路を渡って、山に向かう。「昼食を買おうよ」と団長の高橋啓介さん。インターコムの社長で、“IWC”の発起人だ。高橋さんはコンビニでおにぎりを買った。のんびり歩きながら、日和田山の頂上を踏む。

▼まずは登頂の記念写真。左から二人目が高橋さんだ。今回は飛び入りが1名参加している。一番左の人で佐久間正道さんだ。日立製作所コンピュータ事業部のOBで、もう40年近くなる友人だ。都内で久しぶりに会ったら「こんど、富士山に登るのよぉ」「いつ?」「8月2日だぁ」「へえー、山、登ってんだ」「それが初めてなんだわぁ」と茨城弁が続く。「11日の土曜日に、インターコムの人たちと山に登るんだけど、一度、歩いておかない?」――というのが今回参加の経緯だ。

▼これを聞いた高橋さんが「僕も百名山を10山は登りたいな」。クラブ発足記念の山行は筑波山であった。「この前、高尾山に登ったんだけど、百名山に入ってるの?」と、とぼけたことを言っている。「残念ながら入っていませんね」。話が進んで「富士山に一緒に登りませんか」となった。そして、富士山に登る計画が決まった。2年先、2011年7月23-24日の地デジ記念山行となった。「佐久間さん、富士山に登った様子、聞かせてね」と高橋さん。魚釣る人、山歩く人。思い思いの休日。明日に続く充実した一日であった。(BCN社長・奥田喜久男)
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