「最初に申し上げておくと、法人営業が扱う商材の多くは、消費財の世界に比べれば、地味でつまらないものが多いものです」―本書の序章には、いきなりネガティブな表現がなされている。かといって、法人営業の仕事そのものが・地味でつまらない・というのではない。消費財に比べて、扱う金額が度外れて大きく、「自分が事業全体あるいは会社全体を動かしている、そんな手応えを感じられる」のが法人営業だという論旨が貫かれている。

 章立ては4本。第1章・営業で「儲ける」ビジネスモデル/第2章・顧客を「つかむ」営業/第3章・顧客との関係を「深める」営業/第4章・勝率を上げる営業マネジメント、の4つである。各章は(1)一人の営業マンを主人公とするストーリー、(2)解説、(3)営業のコツの3部構成になっている。

 例えば第1章では、得意先に気に入られて売り上げを伸ばした新人営業マンのストーリーが展開されている。BtoBのビジネスでは、得意先に気に入られるのが「鉄則」だが、結果的にはこの営業マンは得意先に振り回されて利益の出ない商売をしていたのだった。

 こうしたケースは、業種業態を問わずに出くわすはずだ。とくにIT業界では、システム構築など長丁場の商談を余儀なくされるだけに、相手(ユーザー企業)のペースに巻き込まれやすいともいえる。第3章に記されている「過剰なカスタマイズ要求への対応」などは、ぜひ身につけておきたいスキルである。(止水)

『法人営業利益の法則』
グロービス著/山口英彦執筆
ダイヤモンド社刊(1600円+税)