旅の蜃気楼

100年単位で歴史を刻む華人たち

2011/10/20 19:47

週刊BCN 2011年10月17日vol.1403掲載

【シンガポール発】『世界華商大会』の新しいロゴマークができた。赤色を基調に中国の「C」をデザイン化したものだ。大会は2年ごとで、世界で活躍する華僑が一堂に会して交流する場となっている。今回はシンガポールで10月5~7日に開催され、世界三十数か国から4500人が集まった。あちらこちらで中国語が飛び交っている。半数の人は3世もしくは4世の人なので、英語も飛び交う。

▼『世界華商大会』は、今回で11回目。第1回は、同じくシンガポールでの開催だった。当時のリー・クアンユー首相が提唱して始まった。1991年のことだ。1991年といえば、中国は・小平の『南巡講話』の前年で、成長の夜明け前である。当時から日本の華僑をまとめていた黄燿庭さん(日本中華総商会の名誉会長)はリー・クアンユー氏の提案に応えて、参加した。

▼今回の大会のオープニングでは、リー・クアンユー氏の息子で現首相であるリー・シェンロン氏が挨拶した。シンガポールには外資企業の中核拠点がある。日立製作所や東芝もシンガポールに中枢機能を集中し始めている。この国ではどこへ行っても英語が使える。もちろん中国語は使えるから、4500人の参加者はコミュニケーションをとるのが楽だ。オープニング会場に人が集まった。うち1800人は中国大陸からの参加者という。国籍は見分けがつかない。皆が中国語で会話している。日本の華僑の人もルーツはさまざまだ。そのなかでも、福建省の出身者はまとまりがあるという。華僑の始まりは福建省だったと記憶している。

▼シンガポールの人口の70%は華僑だ。シンガポールの中華総商会は1902年に発足した。中国の人は、どうも100年単位の歴史が今に生きているようだ。それでいて、刻々と変わる株価を気にしている。時間軸の刻みが柔軟だ。(BCN社長・奥田喜久男)

『世界華商大会』の会場で、日本中華総商会名誉会長の黄燿庭さんと
  • 1

関連記事

<旅-経営者の目線->38.シンガポール

<BOOK REVIEW>『中国人の金儲け、日本人の金儲け ここが大違い!』