2025年、現在とは環境が大きく異なっているであろう社会で、私たちはどうすれば幸福感とやりがいのある職業生活を築くことができるのか──。この問いに答えるために、ロンドン・ビジネススクール教授の著者は、民間企業45社を含む世界30か国の企業・団体による「働き方の未来コンソーシアム」を組織した。本書は、その研究成果を理路整然と、わかりやすくまとめた一冊。

 アプローチは、2025年の社会を描くことから始まる。「テクノロジーの進化」「グローバル化の進展」など、五つの変化の要因を軸に、2025年の社会を「漠然と迎える未来」と「主体的に築く未来」に区別して描いてみせる。これだけでも十分に興味深いのだが、本書の主題は、「主体的に築く未来」の社会で幸福に働くために、意識的に実践すべき三つの「ワーク・シフト」を提示することにある。

 その第一は、広く浅く知識をもつゼネラリストから、専門技能を連続して習得する「連続スペシャリスト」へのシフト。第二は、孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へのシフト。50億人がインターネットでつながる社会だからこそ、同志のネットワークをリアルの世界で築けと説く。そして第三が、大量消費から「情熱を傾けられる経験」へのシフト。生活スタイルの大転換を迫る。

 職業選択の入り口に立つ人から、キャリアを重ねて指導的地位にある人まで、あらゆる職業人におすすめしたい。明確な意図をもって、職業生活を送るために。(叢虎)

『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』
リンダ・グラットン 著 池林千秋 訳 プレジデント社 刊(2000円+税)